2024年03月08日

52ヘルツのクジラたち

 本屋大賞を受賞した町田そのこの小説をベテラン成島出監督が映画化したヒューマンドラマ。杉咲花の演技力はすさまじく、20代の女優でトップクラスだとみせつけてくれました。


 作品情報 2024年日本映画 監督:成島出 出演:杉咲花、志尊淳、桑名桃李 上映時間135分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ブルク13  2024年劇場鑑賞80本



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 【ストーリー】
 心に傷を抱え、東京から海辺の田舎町に越してきた三島貴瑚(杉咲花)は、男好きの母親品城琴美(西野七瀬)から虐待を受け、口をきけず自分の名前すらいえなくなった少年(桑名桃李)を偶然保護する。


 貴瑚も高校卒業後、寝たきりの父親を介護していたヤングケアラーで、家庭では母親(真飛聖)から暴力を受けていた。当時、自殺しようとした彼女は偶然通りがかった同級生の牧岡美晴(小野花梨)と岡田安吾(志尊淳)に助けられる。安吾は鳴き声が仲間に聞こえず孤独な52ヘルツのクジラのエピソードを語り、だれにも届かない声でも自分はしっかりと聞き取りたいと話す。だが…


 【感想】
 ヤングケアラーと児童虐待という重いテーマを真正面から描いています。自分が虐待を受けているときはノーメークでやつれきっていた杉咲花の存在感はすさまじい。実際、孤独なヤングケアラー、虐待児童は多いでしょう。そうしたなか、安吾のように聞こえない声を聞き取ってくれる人と出会えたことは本当に幸せだと思います。また、久しぶりに会った友人が変わり切っているのを突き放すことなく面倒を見る美晴の情の厚さもよかった。


 ただ、安吾にはある秘密があり、そのこと自体はいまふうでいいのだけど後半がエピソードを盛りすぎた気があります。特に貴瑚に思いを寄せる新名主税(宮沢氷魚)との絡みが、いかにもフィクションですという感じの設定で、リアル感がありませんでした。映画だと安吾が一方的に悪くないと描かれていますけど、そこがかなりの疑問。


 一方、現在と過去を行き来する手法は本作ではうまくはまっていました。特に一見、のんびりと人情の厚い田舎町でも虐待は起きていて、それを他の大人たちがスルーしているなんていうあたりは、そうなんだろうなと思わせます。ここでも、杉咲が過去と現在でどう変化したのかきっちりとわかる演技をみせており、さすがだなという感じ。あるショッキングな出来事に遭遇した際の彼女の演技は、本当にすさまじくうまいの一言でした。


 脇役では西野の悪役が結構はまっていたのは意外。割とヒロイン側の出演が多いだけにこうした配役は面白い。宮沢の善人か悪人かわからないところや映画内での行動は、彼のこれまでの出演作を踏まえると、これまた見事な配役です。そして何より子役の桑名。最初は少女かとおもってびっくりしましたが、虐待をうけてしゃべれなくなったという難役をきっちりこなしているのはすごかった。  


posted by 映画好きパパ at 06:12 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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