作品情報 2022年韓国映画 監督:イ・ソルヒ 出演:キム・ソヒョン、ヤン・ジェソン、シン・ヨンスク 上映時間100分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2024年劇場鑑賞113本
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【ストーリー】
貧しいシングルマザーのムンジョン(キム・ソヒョン)はビニールハウスで暮しながら、少年院に入っている息子チョンウ(キム・ゴン)が出所して、一緒に暮らす日を楽しみにしている。盲目の老人テガン(ヤン・ジェソン)とその妻で認知症のファオク(シン・ヨンスク)の訪問介護をしているが、ファオクが暴れるのに手を焼いていた。
ある日、ファオクが暴れてもみあいになった際、頭を打って信じてしまう。息子との未来を守るため、ムンジョンは施設に入所していた認知症の自分の母チュンファ(ウォン・ミオン)を身代わりにしたて、テガンをごまかそうとするのだが
【感想】
韓国映画あるあるの不幸のデススパイラルなんですが、まずムンジョンが完全におかしい。チョンウを盲愛していて単なるマザコンの領域を超えています。これじゃ息子もぐれるわけだ。また、心の傷を受けた自助グループに入っていますが、知的障害があり世話してくれる人から性的被害を受けているスンナム(アン・ソヨ)に、妙に正論をいってしまうため懐かれてしまいます。この関係も気持ち悪い。
ビニールハウスは半地下よりも貧乏という象徴で、韓国映画だと「バーニング」で放棄されたビニールハウスがあちこちにある様子が描かれるけど、そこに人が住んでいるとは思いませんでした。でも、まっとうに働けばちゃんとした家に住めるだろうに、男遊びもしているからあまり同情できない。引っ越しを画策していましたけど、さっさとまっとうな生活にすればいいのにと、彼女の貧困にまったく同情しませんでした。
一方、テガン夫妻の描写は悲惨。実際に夫の目が見えなくなって、妻が認知症という家族もありそうです。施設を探していたけど住み慣れた家は手放せない。子供も遠くに住んでいるのか、リモートで会話するだけ。テガンは心の値が優しいからムンジョンにも親切にするのだけど、息子のために切羽詰まった彼女は恩をあだで返すわけです。妻が入れ替わっているのではないかと疑惑をもつけど確証をもてないはらはらが続き、ムンジョンが犯罪を隠ぺいするため彼も殺すのではと思ってしまいました。
ムンジョン、スンナム、チョンウと皆、頭がおかしいためどんどん不幸になっていく。それに巻き込まれたテガン夫妻も目が見えない、認知症というハンディがありますから自体の悪化は加速していきます。ある意味、こういう設定を優先させるあまり、ちょっとご都合主義のところもありましたけど、ラストの急展開には満足です。ただ、肝心のシーンを見せずに急に別カットにしてしまうのを何度も続けるのはもったいなかった。
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