作品情報 2023年中国映画 監督:グオ・ファン 出演:ウー・ジン、アンディ・ラウ、ワン・チー 上映時間173分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷 2024年劇場鑑賞124本
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【ストーリー】
2044年、太陽が爆発し地球が呑み込まれてしまうことが100年以内に起こることが分かり、人類は地球連合政府を結成。だが、地球に巨大なエンジンを付けて太陽系から脱出する計画と、人間の記録を全部電子データ化して避難させる計画との間で対立。政府は太陽系脱出を決めるが、反対派は過激なテロを起こしていた。
中国軍所属の宇宙飛行士リウ・ペイチアン(ウー・ジン)は宇宙ステーションで大規模テロに遭遇。片思いしていた同僚のハン・ドゥオドゥオ(ワン・ジー)とともにテロリストとの戦闘に入る。同じころ、天才的な電子工学者のトゥー・ホンユー(アンディ・ラウ)は脱出計画のための最新量子コンピューターの設計をする一方、幼くして事故死した娘ヤーヤーの電子データを密かに保管。彼女を蘇らせようと計画していた…
【感想】
中国のベストセラーSFの映画化で、第1作はネットフリックスで配信されたので僕は未見。本作で意味深に監視カメラのクローズアップが多いのは、第1作(本作より後の時代を扱っている)につながるそうです。ただ、本作だけでも十分楽しめました。冒頭に世界観が説明されたあとは、世界各地でテロが起きるディストピアモードにすぐ突入。ひたすらアクションシーンが続きます。そして、リウのパート、トゥーのパート、そしてニューヨークの連合政府で中国代表の外交官ジョウ・ジョウジ―(リー・シュチエン)が各国政府と駆け引きを繰り広げる3つのパートがそれぞれ独立して描かれます。
前半の山場といえる宇宙ステーションの襲撃は、無数のドローンによる襲撃など戦争映画のような迫力があります。このSFXにはカネがかかっているのだろうなとひたすら感心します。一方で、小ネタ、ギャグも前半は多く、例えばリウから贈られた花束をテロリストにめちゃくちゃにされたハンが逆ギレして、テロリストをぼこぼこにするなどのシーンも。
しかし、中盤以降は地球の危機がどんどん迫ってきて、シリアスモードな展開。宇宙エレベーター、量子コンピューター、AI機能の犬型ロボット、そして人間の意識の電子データ化など最新の科学知識に基づくSFチックな展開と、トゥーの娘への思いなど中国映画らしい分かりやすい家族、恋愛とが共存して妙なテイストで進んでいきます。一方で、危機をどうやって解決するのか、はらはらドキドキの展開も。登場人物が多いだけに、ウルっとするエピソードもあり、ストーリーテリングもしっかりしていました。
意外だったのはハリウッドの大作ではありがちですが、パニックになったり、助けを願ったりする世界各地の様子を短いカットでつないでいるシーンがあること。CNNやBBCなど西側の報道機関が英語で流すニュースの体裁をとっており、中国映画でも流せるんだと感心しました。日本語ニュースもあったけど、どこの放送局かはわかりませんでしたが。なお、脱出計画では地球上の核兵器をすべて使う必要があり、危機にもかかわらず国家間の利害、機密のハードルが描かれています。エンタメなのに核問題を真面目に扱うというのもすごい。
ウー・ジンは「戦狼」シリーズで中国のトップスター。本作でも大作映画の主役にふさわしいたたずまいです。そして、アンディ・ラウが地球の運命と娘の復活との間で苦悩する科学者をベテランらしい演技でみせてくれます。このほか、中国映画だから中国人が活躍するのはお約束ですけど、アメリカやロシアの閣僚、軍人も好意的に描かれているのもちょなと意外でした。でも日本人は出てこないのは、やはり反日感情が残ってるからかな。同じ中国SFでも「三体」では重要人物で出てきたのに。まあ、そんな細かいことは気にせずに、大味のスぺクタル大作として最後まで堪能できます。なお、エンディングロールの途中で、重要な場面があるのでお見逃しなく。どうみても続編がありそうなんですが、日本で公開されるのでしょうか。
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