2024年04月12日

インフィニティ・プール

 最も怖いのは人間だというホラーの定番に、格差問題で金持ちがいかに非人間的というはやりの社会派的要素を盛り込んだ作品。本筋の内容はオーソドックスですが、途中でサイケデリックな光の点滅が続くシーンがあり、70年代のホラーぽいなと思ったら監督がブランドン・クローネンバーグでした。遺伝的にクラシックな撮り方になるのでしょうか。


 作品情報 2023年カナダ、クロアチア、ハンガリー映画 監督:ブランドン・クローネンバーグ 出演:アレキサンダー・スカルスガルド、ミア・ゴス、トーマス・クレッチマン 上映時間118分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:ブルク13  2024年劇場鑑賞128本




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 【ストーリー】
 スランプで書けない作家のジェームズ・フォスター(アレキサンダー・スカルスガルド)は妻のエム(クレオパトラ・コールマン)とともに、リフレッシュのため南国の高級リゾート施設へやってきた。


 治安の悪い国のため、施設からの外出は禁じられていたが、宿泊客でジェームズの著書のファンだというガビ・バウアー(ミア・ゴス)と夫のアルバン(ジェリー・レスパート)に誘われて海辺でピクニックを行う。だが、帰り道に酔っ払い運転をしていたジェームズは地元民を轢き殺してしまう。逃げ出したジェームズは地元警察のスレッシュ(トーマス・クレッチマン)に逮捕され、この国では死刑になると告げられる。だが、大金を払って自分のクローンを身代わりにすれば命は助かると言われ…


 【感想】
 金持ちのリゾート施設はフェンスで覆われ銃をもった警備員が巡回。その外には貧しい住民が暮しているけど、リゾートの客は彼らのことを考えたことがありません。そのうえ、大金を払えば自分の命は助かると知って惜しげなく費用を払います。金持ちのカネさえあれば貧乏人の命などどうなってもしらないというのは現実にもあるでしょうけど、まあちょっと戯画的に描いています。


 本作の面白いところは、自分のクローンは容姿がそっくりなだけでなく、記憶までも一緒ということです。ジェームズのクローンが処刑される現場に本物のジェームズとエムは立ち合い、エムは嫌悪感をしめすもののジェームズはたとえ自分そっくりのクローンが殺害されても自分が助かることに安心します。そして、クローンさえ処刑されれば自分が何をしても罪に問われないことに気づきます。


 すべてに免責される手段ができ、ジェームズやガビは悪事のかぎりをします。一方でエムは良心が残っている。この対比をもうちょっとしっかり描けばよいのでしょうけど、映画はジェームズ、ガビらのほうにフォーカスしていき、単にショックなシーンの連続となります。点滅シーンもその一つで、ここはあえて古臭くしているのかな。


 まあ、そのうちクローンと本物がどう違っているのか、観ている僕のほうもだんだん神経が麻痺していきます。このへんを掘り下げれば面白かったけど、あくまでもエンタメによっているというか、次々にショッキングなシーンを繰り出していくのが本作の特徴といえましょう。ミア・ゴスの薄いメイクの悪女っぷりはさすがで、もはやこうしたホラーの第一人者といえるでしょうね。
posted by 映画好きパパ at 06:06 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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