2024年04月16日

人生って、素晴らしい/Viva La Vida

 数ある難病映画のなかでもトップクラスに良いできでしたが、日本では4館だけの公開というのはもったいない。人工透析が必要な腎臓病という日本だけでも数十万人いる疾患に正面から取り組んでいるのがポイントです。


 作品情報 2024年中国映画 監督:ハン・イエン 出演:ポン・ユーチャン、リー・ゲンシー、シュイ・ファン 上映時間129分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:横浜ムービル  2024年劇場鑑賞129本




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 【ストーリー】
 腎臓病で人工透析をしている若い女性リンミン(リー・ゲンジー)は週3回は病院に通い、食べ物も飲み物も制限される毎日にうんざり。ついに動画で自分に腎臓を提供してくれる人と結婚します。そうすれば結婚相手の家族の面倒も見ますとアップしてしまう。 


 我に返って急いで動画を消したものの、リュト(ポン・ユーチャン)という男性が動画をみたといって付きまとってくる。度を越したリュトの行動に呆れて通報までしたリンミンだが、彼が自分を助けてくれたうえ、付きまといにも理由があることを知り…、


 【感想】
 冒頭、人工透析患者のシビアな毎日が淡々と流れます。人工透析は時間がかかるし、急に発作が起きたときのために病院の近くに住まなければなりません。バナナを食べすぎるだけで命の危険にもなってしまう。腎移植をうけないかぎり、そんな生活が死ぬまで続きます。治療費も馬鹿にならない。移植の順番が回ってきたとおもっても、臓器提供が中止となり本当に落胆することも。


 恐らく時間の融通がきく、ネットのグルメニュースの記者をしながら、自分はグラム単位で飲み食いできるものをしなければなりません。治療優先だから恋なんてもってのほか。リー・ゲンジーは売り出し中の若手美人女優ですが、ノーメイクのうえやつれきって病気の大変さを表情や仕草で伝えます。


 一方、リュトのあまりにも強引な行動は日本だと30年ぐらい前の恋愛ドラマのよう。今だったらコンプラ的にアウトなんでしょう。実際、リンミンもそんな彼のことを最初は嫌っていましたが、彼の実情、そして優しい心根をしるにつれて、気持ちに変化がでてきます。リンミンとリュトのガール・ミーツ・ボーイなんですが、生真面目なリンミンと天然の入ったリュトの性格は真逆。それでも、2人とも病気に対して向き合い、欠点はあるものの相手の美点をみようとする様子は、単なる恋愛脳で泣かせようとさせる難病モノとは明らかに違います。


 また、シングルマザーの老いた母親(シュイ・ファン)の面倒をみなければならないリュト、田舎の祖母がケガをしたため、リンミンを気にしつつも介護に田舎に行ってしまう彼女の両親(ガオ・ヤ―リン、リウ・ダン)という両家の事情が若い二人を左右するのも、いかにも東洋的で非常にリアルです。単純に惚れたはれただけでなく、結婚となると家族も重要なんですよね。


 そして、リュトが宇宙人が地球に来ているなど変な陰謀論を信じているのが重苦しい話をユーモアで軽くしてくれます。僕も最初はリンミン同様に馬鹿にしていたのですが、しっかりと伏線になっているのがすごい。ラストは思わずどうなるのかと手に汗握ってみていました。生きていることの素晴らしさが観客にもストレートに伝わってきて、本当に多くの人に観てもらいたい作品です。
posted by 映画好きパパ at 06:01 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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