2024年04月18日

パストライブス 再会

 韓国から米国に移民した女性の韓国での初恋と再会を丁寧なタッチで描いたラブストーリー。品のある抑制されたタッチとニューヨークを美しく見せる撮影技術は往年のクラシック映画をみているよう。ただ、そこまで初恋はひきずるものなのかとも思ってしまいました。


 作品情報 2023年アメリカ、韓国映画 監督:セリーヌ・ソン 出演:グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ 上映時間106分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜  2024年劇場鑑賞133本




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 【ストーリー】
 2000年、ソウルに住む12歳の少女ナヨン(ムン・スンア)は同級生のへソン(イム・スンミン)と両想いだった。だが、ナヨン一家はカナダに移住してしまう。12年後、ノラ(グレタ・リー)と名前を変えてニューヨークに移り住んだナヨンのもとに、へソン(ユ・テオ)がSNSで連絡してきた。2人はオンラインで何度もやり取りするが、互いに忙しく直接会うことはなかった。


 現在、ノラは作家のアーサー(ジョン・マガロ)という白人男性と結婚している。そんなある日、へソンがニューヨークに旅行に来ることになった。久しぶりに二人は再会することになり…


 【感想】
 小学校のころの初恋の思い出をどこまで覚えているか。実は僕はまったくそういう体験がないので、ここまで引きづっているのはちょっと意外な気もしました。だって、また心も体も子供のころなんですから。ただ、24年も直接会えなかったことで、2人とも相手を子供時代のまま自分の心に封印していたのでしょう。だから、再会はとてもみずみずしいものになった。


 当人にとっては些細なことでも、のちに大きく運命を変えてしまうことがあります。ニューヨークとソウルは確かに遠いけれど、20代前半だったら行こうと思えば行けたはず。にもかかわらず、2人は関係がずっと続くと思って大切にせず、結局、運命の赤い糸ではありませんでした。あるいは、もう一歩踏み込んで今の適温な関係が壊れてしまうのを恐れたのかもしれません。


 イニョン(縁)という言葉は知りませんでしたが、輪廻転生は東アジアではわかりやすい概念。タイトルのパストライブスは前世という意味です。前世でなんかの因縁があったから、今生では出会うことができた。しかし今生で結ばれなかったので来世に結ばれればいい、なんて感覚でしょうか。2人の再会ではへソンのほうがやや未練が残っているようにみえましたが、それでも今生では結ばれないことが分かっているわけです。


 しかし、ノラはアメリカに移住して考え方も変わったのでしょう。24年前と自分たちが違うことをはっきり理解しています。名前もそもそも変わったわけで、移民になるとはこういうことなのかと思わされました。また、どちらかというと臆病なアーサーの姿も興味深い。韓国語で会話する2人に仲間外れにされたような複雑な表情は、アーサーへの同情がまします。さらに、ノラの焼けぼっくいに火がつくことを恐れている様子がみられて、これを現実的にドライに断ち切るノラは格好良い。


 ニューヨークでの二人のデートシーンは非常に美しい。ハドソン川沿いの散歩。遊園地のメリーゴーランドなど何度も映画で観たシーンですが、ここまで落ち着いて絵画のようなたたずまいでみられるのは本当に貴重です。
posted by 映画好きパパ at 06:04 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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