作品情報 2023年スペイン、エストニア映画 監督:カルロス・ベルムト 出演:ナチョ・サンチェス、ソエ・ステイン、アルバロ・サンス・ロドリゲス 上映時間116分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2024年劇場鑑賞143本
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください

にほんブログ村
【ストーリー】
ゲーム会社でモンスターデザインを担当しているCGクリエイターのフリアン(ナチョ・サンチェス)は内向的な性格で、会社のパーティーなどでも居心地の悪さを感じていたが、同僚のサンドラ(アイツィベル・ガルメンディア)から、ディアナ(ソエ・ステイン)という美術大生を紹介され、次第に惹かれあうようになる。
ある日、在宅勤務をしていたフリアンは、マンションの同じ階の部屋で火事が起きているのを発見。部屋に一人でいた幼い少年クリステャン(アルバロ・サンス・ロドリゲス)を助け出す。だが、その際に煙をすったせいか、それ以来、パニック障害に襲われるようになり…。
【感想】
マンティコアとはライオンの体と人間の顔を持ち、人を襲って食べるといわれる伝説の生物。フリアンだけでなく多くの人の心の中に、このような怪物が巣くっているという感じでしょうか。途中までとことん、善良で世間からつまはじきにある側にいたフリアンのある行動が、彼の暗部をえぐりだすという嫌ミスです。
しかも、日本人の僕からすると、えっ、この程度のことなのにという気もしてなりません。このへんが欧米と日本の性癖への感覚の違いなんでしょうね。一方で、監視社会や同調体質の恐さというのは日本もスペインも変わらない気がしました。フリアンが本人も気づかないうちにどんどん追い詰められていくのが怖い。
そこまではフリアンの孤独、社会からの疎外感がたっぷりえがかれるとともに、介護のために同世代のような青春を謳歌できないディアナの孤独と共鳴することがストレートに伝わってくる様子を非常に丁寧に、長すぎるほど描いていました。そこまで積み上げてきたものが、たった1回のことであっという間に崩れ去るのは、人間の運命のはかなさをかみしめられます。さらにディアナの最後の選択も非常に重たい。彼女の未来はどうなるのか暗澹たる気分です。
スペイン人というと陽気なイメージがあるだけに、フリアンのような陰キャは生きづらかったのかという気がしてなりません。このなんともいえないジトッとした陰鬱な雰囲気が続くのはベルムト監督の特徴なんでしょう。日本好きな監督らしく、唐突にストーリーと関係ない北海道の混浴温泉の話が入ってきたのには笑えましたが。
【2024年に見た映画の最新記事】
それでも、どこか「自分は白人」という変なプライドが見え隠れしたり。
こういう映画とも、意外と親和性高いのかもしれません。
スペインはいったことがないのですが、ウディ・アレン映画のように
明るく情熱的な印象がありました。
治安が悪いというのはその通りなんでしょうね。
そういうスペインの裏側がこの映画で観られた気がします