2024年05月06日

瞼の転校生

 中学生の男女3人の青春物語というと「ゴールド・ボーイ」も同じ組み合わせだったけど、本作は善良な中学生ばかりでほっとしました。大衆演劇は一度も観たことないのにノスタルジーを感じさせられます。


 作品情報 2023年日本映画 監督:藤田直哉 出演:松藤史恩、齋藤潤、葉山さら 上映時間80分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:吉祥寺アップリンク  2024年劇場鑑賞156本




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 【ストーリー】
 旅回りの大衆演劇一座の座長(生津徹)の子供、裕貴(松藤史恩)は幼いころから舞台に出演していたため、学校は1カ月程度で転校を繰り返していた。中2だが、学校で友達を作る気もなく、舞台出演のため早退ばかり。高校受験もする気がない。


 ある日、不登校だがイケメンで成績トップの同級生、建(齋藤潤)のところにプリントを届ける。最初は特に関係もなかったが、一座のタニマチ(高島礼子)に頼まれ、彼女の娘で地下アイドル「パティファイブ」の浅香(村田寛奈)のコンサートにいったところ、建と再会。盛り上がってしまい2人は友人になり、学校帰りにいつも寄る関係に。さらに、建の元カノの茉耶(葉山さら)が建の様子を知りたいと、一緒に早退して強引に彼の家まで付いてきて…


 【感想】
 大衆演劇の子供って学校にもろくろくいけずに大変なのかと素直に驚きました。昔はサーカスの子供なんかもそうだと聞きましたが、今でも同じなんでしょうか。それはさておき、中学を卒業したら役者になるつもりの裕貴は勉強も友情もどうでもいい。つまり学校なんてどうでもいいわけです。


 その一方で一座が家族の彼に取り、父親を普段「座長」と呼んで敬語で話し、母親は早くに亡くなり、ある意味ずっと緊張しながら生きてこなければなりませんでした。それが建という同世代の友人ができ、さらに、美少女で積極的な茉耶も加わり、男女3人の仲良し組ができたことで彼の世界も色づきます。座長である父は芸には厳しいけれど、大衆演劇そのものの人気が低下傾向にあるなかで息子の行く末を心配しており、同じ父親として感情移入しまくりました。同時に中学生は大人が思うよりも成長しており、「親の心子知らず」「子の心親しらず」の両面がうまく描かれていました。


 裕貴は子役、女形として活躍している設定。実際の大衆演劇の劇団員らが脇を固めていることもあり、松藤の舞台上の演技は本当に見事。タイトルは大衆演劇の傑作「瞼の母」から来ており、演目の一部も流れ、大衆演劇の世界にひたることができました。勉強だけしていればいい、建や茉耶にとっても彼の生きる道を少しはしることでいい刺激になったでしょう。1カ月限定のクラスメイトだったけれど、この1カ月は3人にとっていつまでも忘れられない時期に違いありません。


  齋藤は「カラオケ行こ!」でブレイクしましたが、本作の方がはるかに二枚目にとれていてびっくりしました。また、葉山の活発な美少女という役柄も、撮影当時は実際の中学生だったこともあり、この年頃だからだせるピュアで健康的な美しさが良く出ていました。浅香をめぐるドタバタも含め、笑って、でも懐かしい気持ちに胸がきゅっとくるような、秀作。ラストシーンも非常に印象的でした。
posted by 映画好きパパ at 18:00 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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