作品情報 2022年日本映画 監督:天野大地 出演:大西礼芳、小林リュージュ、八代崇司 上映時間27分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:テアトル新宿 2024年劇場鑑賞159本
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【ストーリー】
生徒からの嫌がらせで中学校教師を辞めた倫子(大西礼芳)はコンテンツモデレーターという仕事に再就職する。それは、ネットで流れる悲惨な映像やグロ画像を削除する仕事だった。戦争、殺人、事故、世界の様々な映像、画像をチェックするうちに倫子は仕事にのめりこむとともに心のバランスを崩していき…
【感想】
コンテンツモデレーターという職業を知りませんでした。今、求人サイトをチェックしたら月給25万円前後、昇給ありという感じ。ネットをチェックし、上司の八木(八代崇)のように自分とは関係ない絵空事だと割り切って仕事ができる人はいいのでしょうけど、実際にこの世の中で衝撃的な出来事が起きているわけで、おそらく繊細で中学教師を務められなかった倫子にとり、絵空事とは割り切れない感じ。
倫子は犠牲者、被害者の状況を調べてメモに書いていきます。また、夫の和也(小林リュージュ)にはコールセンターの仕事をしているとウソをつきます。偶然メモを見つけた和也はが慌てて彼女を精神科に連れていこうとするけど狂っているのは倫子なのか、それとも平然と残酷な事実に目をつぶっていられる現代社会の方なのか、深く考えさせられます。僕自身はもし仕事にするなら八木のように割り切るでしょうけど、それは人間性を放棄した代償と言えるかも。
また、倫子の友人の美香(佐々木心音)、元教え子の聡美(小寺結花)らがストーリーに起伏をつけてくれます。果たしてまともに生きるというのはどういうことなのか。がっつり長編にしても良い題材ですが、省略技術がうまくて短編だからこそ心に残る感じもありました。
この後、ウクライナ戦争を描いたドキュメンタリー映画「マウリポリの20日間」を観ましたけど、ネットでは戦争の残虐な動画はコンテンツモデレーターによって削除されています。見かけ上平和にすることでは問題は解決しません。一方で、残虐な映像は観た人の心を確実にむしばみます。ネット社会ならではの問題をいち早くとらえ、脚本も手掛けたアマノ監督の目の付け所に驚嘆します。
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