作品情報 2023年ウクライナ、アメリカ映画ドキュメンタリー 監督:ミスティスラフ・チェルノフ 上映時間97分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2024年劇場鑑賞161本
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【ストーリー】
2022年2月にロシアはウクライナの侵略を開始。AP通信のミスティスラフ・チェルノフ記者ら撮影クルーはマウリポリでの取材を開始した。ロシア軍の戦力は圧倒的で、連日、空爆、空襲が行われ、民間人も標的にした。赤ん坊だろうが高齢者だろうが関係なく犠牲者は出る。他の報道機関が避難する中、ウクライナ人でもあるチェルノフは現地にとどまり続けた。だが、ロシア軍はAP通信の報道をフェイクニュースと批判し、命の危険にさらされたチェルノフは包囲下から決死の脱出を図る。
【感想】
東西冷戦が終了し、平和な時代になると世界中が思った時期がありました。これまでも局地的な紛争はあったものの、大国による全面戦争がまさか起きるとは、そしてウクライナがこれほど善戦するとは信じられない思いがあります。一刻も早く平和が戻るとともに残虐な侵略者には厳罰を与えてほしいものですが、日本からできることはなく、せいぜいウクライナに寄付をすることぐらいでしょうか。
ただ、戦争の実態がどういうものなのか、開戦から激戦になるまで民間人はどういう目にあうのかの記録をしっかりと日本でみられるというのは貴重な機会です。戦争を風化してはならないし、ロシアのプロバガンダに負けてはいけない。日本でも著名な政治家や評論家がロシアべったりとなっていますしね。
チェルノフ記者のレポートは終始、落ち着いています。しかし、それは怒りが内面に湛えられていることがストレートにつながってきます。昨日まで平和に暮らしていた妊婦が胎児とともに殺されたり、病院やマンションといった民間施設を平気で狙い撃ちするロシアに怒りを感じえません。しかし、戦争というのはこういうものでしょうから、日本が外国に侵略されたら同様の悲劇が起きるわけです。政府の防衛力強化に反対する人の神経を疑わざるを得ないと思ってみていました。
血まみれの死体が物のように穴に放り込まれる。病院のベッドは満杯。そして、砲弾がすぐそばで爆発する。臨場感あふれる映像は戦争の悲惨さの一端を伝えてくれます。マウリポリから脱出したのは4分の1しかおらず、大部分の人は日常が一気に戦火に襲われているのを体験し、さらにパニックや略奪といった行動に走る様子まで、カメラはしっかり伝えています。どんなところでも人間は生きていく不思議さもまたそこにありました。チェルノフがしばしば、故郷に残してきた幼い娘や妻を思い出すシーンがはさまるのも、日常と戦場の違いがはっきりわかります。
終盤はAP通信一行の脱出劇となります。ロシアにとっては生け捕りにして拷問し、フェイクニュースだと宣言できるわけですから格好の標的。彼らがどのように脱出したのか、協力したウクライナ人の多くはなくなっているでしょうし、そうした協力者を残して自分たちだけ脱出する葛藤も伝わってきます。しかし、それでも撮影した動画を世界に生きて伝えなければならない。ジャーナリズムがなぜ必要なのか。そして、日本の批判だけしてればいい多くのマスコミがいかにダメダメなのか。日本人にとっても参考になる作品でした。
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一点、途中にある「爆破日本」て何ですか…?