作品情報 2024年日本、台湾映画 監督:藤井道人 出演:シュー・グァンハン、清原果耶、道枝駿佑 上映時間124分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ港北ニュータウン 2024年劇場鑑賞167本
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【ストーリー】
台湾でゲーム会社の社長をしていたジミー(シュー・グァンハン)は、強引な経営が反発され、社長を解任される。最後の仕事で日本を訪れたジミーは、18年前に台湾を訪れた日本人女性アミ(清原果耶)との淡い初恋を思い出し、ゆかりの地を旅して回る。
バックパッカーだったアミは財布を落としたため、当時18歳だったジミーのバイトしているカラオケ店で住み込みのバイトを始める。4歳年上のアミは明るく、でも時折寂しい顔をみせ、ジミーの心を奪った。だが、突然アミは帰国することになり、ジミーはがっかりする。いつか夢がかなったら再会しようと2人は約束したのだが…
【感想】
映像、美術、音楽、本編はどこからみても完璧。ただ、劇中でミスチルが取り上げているためか、エンディング曲がミスチルなんですけど、これはあまりにも狙いすぎで個人的にはここだけが今一つでした。
台南ののんびりした郊外で、高校卒業の夏をだらだら過ごしてきたジミーの前に突然現れた異国のお姉さん。ジミーは日本のアニメやマンガ好きで片言の日本語がしゃべれることもあり、アミと仲良くなります。生まれてから田舎町しか知らないジミーにとって、日本人でバックパッカーとしてあちこちを回ったアミはまぶしく映り、時にはからかわれるように、でも基本的にはまっすぐとした彼女に恋をするのは当然かもしれません。
映画に誘って(岩井俊二の「Love Letter!」)OKしてもらうかのドキドキ、そして、映画館で手を握ろうかどうしようかのドキドキ。こういう甘酸っぱい初恋の体験をもった人は多いのでは。また、台湾ロケならではの夜の高速での原付バイクの2人乗り、ランタンに願い事を書いて空に飛ばす祭りなど、エモさは爆発です。
一方、日本パートは同じシュー・グァンハンが演じているのに、もう青春を卒業した大人になり切っています。アミの実家を訪ねるまでに、電車の中で偶然出会った元気な青年(道枝駿佑)、泊まるとこがなくてネカフェに行って意気投合した店員(黒木華)、田舎町で迷子になったら親切にクルマに乗せてくれた初老の男(松重豊)など、日本人の温かさを感じさせられる人々と出会うロードムービー。「新聞記者」「デイアンドナイト」で日本、日本人の嫌なところをえぐりだしていた藤井監督とは思えない、温かさに満ちています。正直、
物足りなさはあったけど、素直に心に癒されました。
初恋の切なさ、エモさに劇場ではすすり泣きもあちこちから聞こえました。台湾のカラオケ店のメンバーも良いやつばかりで、ジミーをそれとなく応援しているのも若い時代あるあるで心を打ちます。原作は台湾人ゲーム作家、ジミー・ライのエッセイで、実話をモデルにしているというのがまたエモい。台湾は暑い夏、日本は3月で北国には雪がまだ残り、ジミーが驚くという対比が交互に描かれる景色もなかなかでした。旅は何が起こるかわからないからいいのですよね。
シュー・グァンハンと清原の清潔感あるコンビもいいですが、カラオケの中年店長で日本からそのままいついた設定の北村豊晴は台湾在住の俳優で、日本語と台湾語がペラペラで日髭もふくめて存在感がありすぎ。日本パートの出会っていく面々もベテランから若手まで雰囲気が合う人を起用しており、このへんも良い映画だなとしみじみ感じました。
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