作品情報 2022年ドイツ、フランス映画 監督:アンドレアス・ドレーゼン 出演:メルテム・カプタン、アレクサンダー・シェーア、チャーリー・ヒュブナー 上映時間119分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2024年劇場鑑賞170本
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【ストーリー】
2001年、ドイツのブレーメンに住むトルコ系のクルナス一家。長男のムラ―ト(アブドゥラ・エムレ・オズテュルク)が突然姿を消し、母親のラビエ(メルテム・カプタン)は不安になる。どうやらパキスタンにいったことが分かったがそれまで。そこへ突然、ムラ―トがタリバンだという報道がされ、グアンタナモに収監されていることがわかった。
警察、外務省や赤十字などに助けを求めるがどこも手を貸さない。困ったラビエは電話帳で見つけた弁護士ドッケ(アレクサンダー・シェーア)のところに押しかけ泣きつく。法治国家でこんなことは許されないと正義感から、ムラ―トの解放のための活動を始めるが、それは長くつらい旅となった。
【感想】
ラビエは陽気で太った肝っ玉母さん。子供へうるさいほど過剰な愛をささげますが、一方でとんでもない困難に陥った時に突破するのは過剰までの愛。父親のメフメト(ナズミ・キリク)が頼りないのに比べて、猛烈な突破力で息子を助けようとします。なにしろトルコ法務省をアポなしで押しかけ、通りがかった大臣に直談判するほどですから。
一方、ほっそりしたドッケは一見頼りなさそう。しかし、ムラ―トを解放しようというラビエの気持ちを誰よりも理解します。弁護士らしく法の手順を踏んだり、マスコミを利用したりしますが、そのあたりの手間はラビエにとって面倒臭い。しかし、2人が別々の戦術をとったからこそ、事態は動いていくように見えました。
一方、ムラ―トは2人の弟がいますし、メフメトはイラスム教の男らしく、家事はほとんどしません。ラビエはムラ―トのためにトルコやアメリカを飛び回りますが、家事、育児はおろそかに。それでも必死になるラビエや家族の姿は非常に尊い。
それにしても驚いたのが、今もわずかですがグアンタナモに収容されている人もいること。米国がいざとなったら法を曲げるというのは恐ろしいですし、まして他の国ならば権力がむき出しになるというのが現状だと思うと不快でなりません。しかし、その状況をごく普通のおかんが打破したのはすごい。
メルテム・カプタンはドイツで有名なコメディアンだそう。本件は大臣の約束などうれしいことがあっても、すぐそれがダメになることが繰り返し、途中でラビエの心も折れそうになります。しかし、ドッケの助けもあって最後まであきらめない姿を熱演。地が陽気で体格も大きいから、絵になったのでしょうね。
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