作品情報 2023年韓国映画 監督:チャン・ハンジュン 出演:アン・ジェホン、イ・シニョン、チョン・ジヌン 上映時間122分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:新宿ピカデリー 2024年劇場鑑賞171本
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【ストーリー】
2010年、韓国の釜山中央高校バスケ部は、かつては強豪だったのに今や4人しか部員がおらず、コーチも不在で廃部寸前だった。校長(ソ・ヨンサム)は廃止を主張するが、OBの反対を恐れて名目だけ部を残すことになる。新任コーチはバスケ部OBでプロまでいったものの、2軍のままクビになり、今は公益勤務要員(徴兵の代わりに公共奉仕をする仕事)のカン・ヤンヒョン(アン・ジェホン)にコーチ就任を依頼する。
カンは有力選手のスカウトに回るが、ソウルの高校に取られてしまい空回り。なんとか元教え子のハン・ジュニョン(イ・デヒ)をはじめ、未経験者を含めて7人を確保。ずば抜けてうまいジュニョンにボールを集める戦術で初勝利を目指す。ところが大会直前、ジュニョンがソウルの強豪高校に横取りされてしまい、チームは空中分解。そのうえ、選手同士の喧嘩で投げつけたボールが審判の顔面にあたってケガをさせ、出場停止処分になってしまう。とことんどん底まで落ちたチームだったが…。
【感想】
とにかく熱く、後半の試合シーンは応援上映があったら立ち上がって声援したいほど。スラムダンクとは違った実写の魅力がありました。現実の試合をモデルにしているためか、数々のスポーツ映画であるようなラスト1秒で逆転という展開はない一方、試合ごとに戦術が違ったり、試合ごとにヒーローが違ったりして、ああ、高校スポーツってこうだよなと思わされました。
カンコーチも憧れのプロになったものの活躍できずに、公益勤務要員が終わった後はフリーターになってしまう人生どん底。クビになってはいけないため、ジュニョンばかりをひいきにして、他の部員は白けてしまいます。しかし、そのジュニョンを奪われたうえ、出場停止になって絶体絶命になったときに、はじめてバスケが好きということで部員たちと心が通じ合います。他のほとんどのスポコンドラマは指導者が人格者で、実際にはいないだろうというヒーローなんですけど、カンコーチの人間臭さ、弱さが実にいい。喜怒哀楽が豊かで、部活を再開させるには思い切った手段をとるなど、韓国映画っぽい大仰なところも本作にはあっています。
また、選手たちもそれぞれ負け組からの逆転を狙います。中心選手はイケメンのギボム(イ・シニョン)ですが、中学の時は大活躍したのに背が伸びなかったためにどこからもスカウトが来なかった屈辱をばねにします。彼のチーム内のライバル、ギョヒョク(チョン・ジヌン)も天才的な実力の持ち主ですが、家が貧乏で足をケガした時に治療費が出せず、古傷となって万全なプレーができません。そんなふうに一人一人にキャラが立っているのがいい。
特に自分の中学校の部活時代と重なったのですが、新入部員のジェユン(キム・ミン)は小学校からバスケを始めたのに下手くそで一度もゴールを決めたことがない。それでもバスケが好きで、黙々と一人で練習している。そんな彼が初めてゴールを決めたときは思わず涙が零れ落ちそうになりました。
そして、後半は全国大会となり試合シーンの連続です。ある事情から5人で戦わなければならず、交代要員が一人もいないまま肉体、精神とも限界までぼろぼろになりながら試合が続いています。そうしたなか、カンコーチが「人生は失敗は当たり前。でもそこからリバウンドすれば成功につながる。バスケが終わった後も人生が続く」と心に響くアドバイスを送ります。序盤はジュニョンばかりひいきして他の部員のことを考えず、反感をかっていたのに、ここでは選手のこれからの人生のことまでを考えての言葉は、観ているこちらにも心に染み入ります。
また、主要キャストは男性ばかりというのも高校生の部活ぽくてよい。男子高校生の部活を描いた作品は多いですが、女子マネージャーや恋などに触れる作品が大半です。しかし、本作は選手の母親がちらりとでてくるだけ。とにかくスクリーンから漂う汗臭さにしびれました。1カ所だけ有名女優がずらりとでてくる?のですけど、こういうギャグっぽいところも韓国映画だけよかったですね。
アン・ジェホンは撮影のために10キロ太って、実在のカンコーチの恰好に似せたそう。六角精児を彷彿とさせる小太りメガネでアスリートっぽく見えないのですが、エンディングロールで、実際の試合の写真、映像が流れ、そっくりなのに驚きます。また、選手はイ・シニョン、チョン・ジヌンといったイケメンも起用しており、顔かたちは違うもののシュートを決めるシーンとかが実際の試合とそっくりなのにも驚きました。あまり話題になっていませんが、万人におススメの作品です。
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