作品情報 2024年日本映画 監督:ヨリコジュン 出演:平井杏奈、向後桃、竹中直人 上映時間105分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ座間 2024年劇場鑑賞183本
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【ストーリー】
山口県の女子高生マユ(平井杏奈)は、自分をダメだと決めつける母親(石野真子)との仲が悪いうえ、帰宅途中に男に暴行を受けそうになったこともあり引きこもりに。自分やかわいいキャラクターだけが存在する「マユランド」に閉じこもっていた。
そんな彼女を心配した兄(中本太賀)は、マユがプロレス中継に興味を示したことから実際に試合に連れていく。すっかりプロレスにはまったマユは、東京で新団体「スターダム」が旗揚げするニュースを知り、わずか6000円を握りしめて家出し参加する。体力も技術もからっきしの彼女だが、社長のグッシー(竹中直人)とGMの流香(向後桃)は彼女の表情に惹かれて、入門を認めた。だが、練習嫌いのマユは…。
【感想】
先日、ほかの団体ですが生まれて初めて女子プロレスの観戦にいき、興奮して帰ってきたので本作を楽しみにしていました。今や女子プロレス界を代表するスターになった岩谷麻優が原案で、登場人物は彼女以外名前が変えられていますが、概ね実際にあったエピソードを反映しているそう。自分の殻にこもった引きこもりの女の子のサクセスストーリーですが、途中まで練習をまったくする気がなく、試合も連敗が続いてファンから逆に「勝たないでほしい」と要望されるなどの格好悪いエピソードを盛り込んでいます。
これって人間の運命は不思議だと思って、同期のレスラーの東子(ゆきぽよ)は寮で同室で、天然ぎみのマユに褒めてもらったことから彼女と良いコンビになります。しかし、他の同期3人はろくに練習しないのに、天然で明るいがゆえに人気がある彼女のことを嫌っています。特に努力家の巨瀬川(都丸紗也華)はあからさまに彼女を嫌い、そのことも一因となってのちに悲劇的な事故に巻き込まれますが、やはりプロレスもエンタメの要素があるためスター性というのは大事なんでしょう。努力してもスター性を得られない彼女たちが悪役なのにフラットに描かれていたのは良かった。「努力は夢中に勝てない」って何気に明言です。クライマックスで檜舞台に向かうまゆに、彼女たちから贈られた花輪が並んでいるのはぐっときました。
105分と上映時間が短めのため、マユがなぜ突然強くなったのかの説得力は弱い気がします。しかし、彼女がスターダムを守ろうと必死になって、今までのサボりを返上して練習に死に物狂いに打ち込む姿は、本当に美しい。そして、クライマックスの対戦は迫力満点。どうやって撮影したのか感心するほど。現代のおとぎ話というわけでないけれど、実話なのですものねえ。どこらへんまで本当なのでしょうか。
平井はオーディションで起用されたそうで、初々しくぎこちない演技がマユという少女に逆にあっていました。表情の豊かさもふくめてスターオーラの片鱗がみえ、今後が楽しみ。そのほか、スターダム関係者らも起用されていますが、意外にもそこそこ有名な芸人が脇役に多数参加していること。スターダムのレフリーはレーザーラモンHG(サングラスを外してやせてたので最初だれかわからなかった)、スポンサーで流香にセクハラをするエロ社長は有田哲士、まゆの追っかけ観客に竹若元博、浅越ゴエ、レイザーラモンRGなど。正直、いかにもという安っぽさが映画に漂ってしまいましたが、それを含めて手作り感はあって面白かった。
さて、現実ではグッシーのモデルとなったロッシー小川は、映画の公開直前にスターダムを去って新団体独立を発表。映画の制作は親会社のブシロードですけど、選手の引き抜きなど足で砂をかける形に。映画のグッシーは普段は居眠りばかりですが、いざというときに頼りになるという役柄ですけど、まさかこんなことが起こるとはプロレス界は面白いですね。
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