作品情報 2022年インド映画 監督:マニラトナム 出演:ヴィクラム、アイシュワリヤー・ラーイ、カールティ 上映時間167分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2024年劇場鑑賞185本
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【ストーリー】
チョーラ王国は武勇に優れた皇太子のアーディタ(ヴィクラム)、弟のナンディニ(アイシュワリヤー・ラーイ)が、南北に分かれて領土を切り取っていた。だが、王(プラカーシュ・ラージ)は重い病気にかかり、大臣のパルヴェート(R・サラトクマール)たちはクーデターを計画していた。陰謀を察知したアーディタは親友で腹心の部下のデーヴァン(カールティ)を調査に当たらせ、王と、首都に残っていて知恵者として名高い妹のクンダヴァイ王女(トリシャー・クリシュナン)に報告するよう命じる。
パルヴェートは若い妻のナンディニ(アイシュワリヤー・ラーイ)に影響されていた。実は彼女はアーディタの元恋人だが、身分が卑しいとしてクンダヴァイに追放された。さらに、身を寄せていた国がアーディタに滅ぼされ、チョーラ王朝に深い恨みをもっていたのだ。陰謀が渦巻く中、デーヴァンの旅が始まる…
【感想】
インド映画の時代劇というと、わりかしストーリーが単純で「バ―フバリ」のように貴種流離譚のようなものか、「RRR」のように巨悪が正義を打つという印象でした。本作はまだ前半だけですが、ナンディニという復讐の美女を配置したことで、物語が複層的に広がっています。
原作は1950年に発表されたインドのベストセラーで、チョーラ王国も実在しました。映画化まで70年以上かかっているのはやはり壮大なスケールの物語であるためでしょう。宮廷の陰謀劇や亡国の民の復讐、デーヴァンの冒険、コメディリリーフ的なバラモン僧のナンビ(ジャヤラム)の存在という形で目まぐるしく話が動いていきます。悪役も自分なりの正義を持っており、必ずしも私欲だけでないというのがインド映画としては珍しいかも。
そしてアクション。合戦シーンは流れるようなカメラワーク、馬、象を多用したスピーディーな剣戟ですさまじいの一言。「バ―フバリ」「RRR」のような奇をてらったものはない一方、オーソドックスなアクションでも人海戦術とカメラワークでこれほどうまくみせられるのかと感心しました。
音楽シーンは時代劇だけあって、伝統音楽っぽいダンスと踊りで神にささげる舞踊だったりします。インド映画に音楽とダンスはつきものですが、このいかにも当時を感じさせるという場面と、冒頭にあるような壮大なオーケストレーションとの組み合わせが実にいい。
そして、何よりも俳優たちの存在感。圧倒的に強いアーディタ、義のために生きるデーヴァンはもとより主人公側として当然なんですけど、普通、美女は善人役が多いインド映画で、復讐のために陰謀を巡らすナンディニの美しいこと。クンダヴァイとの女の対決も、
会話や仕草、そして頭脳戦でみせているのに、実際のアクションのようにぞわぞわさせます。アイシュワリヤー・ラーイが実年齢50歳というのには驚愕しました。
まあ、インド映画らしいくどい部分があって、上映時間が長いのは何ですけれど、それ度も壮大な歴史絵巻を大スクリーンで堪能できるのはたまりません。早く後編もみたいものです。
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