作品情報 2024年日本映画 監督:綾部真弥 出演:市原隼人、田澤泰粋、大原優乃 上映時間111分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ブルク13 2024年劇場鑑賞191本
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【ストーリー】
1989年、函館の中学教師、甘利田幸男(市原隼人)は強面でクールな教師とみられているが、実は給食が大好きで、給食を食べるために学校に来ているといっても過言ではない。そんな彼のクラスの生徒、粒来(つぶらい)ケンは、給食をおいしく食べることには天才的な才能を発揮し、ひそかに彼を給食道のライバルとみている甘利田をいつもぎゃふんといわせていた。
ところが、町長の等々力(石黒賢)が給食に食べ残しがでることに問題視。生徒たちが給食に感謝していないとして、脱脂粉乳のような昔のメニューを強制的に完食させ、食事のときも黙食するよう指示した。これに対して、おいしい給食をみんなで和気あいあい食べることを理想とする甘利田と粒来は反発するのだが…
【感想】
シリーズを追うごとに市原の謎ダンス、変顔がパワーアップしていきます。ジャージャー麺や焼き鮭など、給食のメニューごとに全身で楽しみを満喫する甘利田のいきいきとした顔がいい。一方、そんな甘利田に生徒が突っ込まないのは約束なのですが、副担任の比留川 愛(大原優乃)はそんな彼を理想の教師としてあこがれるというのもお約束。市原隼人の代表作になったといっても過言ではないですね。
さて、本作の等々力は単なる悪役ではなく言っていることに筋は通っています。フードロスが問題になっていますけど、舞台が30年以上前なのにそれを政策にするというのは普通だったら正論です。しかし、残すのだったらおいしくするのでなく、強制的に食べさせるというあさっての方向にいくのは、当時の管理教育を揶揄しているよう。また、給食は食べるだけでなくて食事をコミュニケーションツールとして扱うという意味もあるわけですから、甘利田が冷静に等々力に反論するのはみていてすっとします。
しかし、甘利田も学校の一教師。まして粒来は中学生にすぎず、決められたことに従うしかないというのもまた事実。現実にも理不尽なことが多い中、どうやって彼らが対抗していったのかというのも、観ていて楽しい。また、学芸会が重要なポイントになっているのも、いかにも中学校をドラマにしたみたい。一方、等々力を単なる悪役にしないで、過去の給食への思いを語らせる展開もウェルメイドです。
ほかにも比留川の淡い思い、酒が飲めない甘利田が飲んだらどうなるのかなど、脇の話も面白い。エピローグ的に過去作の観客にはニヤッとするような展開もあります。モブの女子中学生がヨーヨーを扱っていたり、粒来がローラースケートやホッピングにはまっているというのも時代を感じさせて懐かしく思いました。
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