作品情報 2023年日本映画 監督:大森立嗣 出演:福士蒼汰、松本まりか、浅野忠信 上映時間141分 評価:★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷 2024年劇場鑑賞196本
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【ストーリー】
琵琶湖のほとりの町の介護施設で、100歳の入居者が人工呼吸器が止まって死亡する。地元の警察は何者かが意図的に行った殺人事件として捜査を開始する。若手刑事の濱中圭介(福士蒼汰)は職員の豊田佳代(松本まりか)を見て驚く。早朝、釣りに出掛けた濱中が見つけた車のなかで彼女は自慰行為をしていたのだ。
濱中の先輩刑事でパワハラ気味の伊佐美佑(浅野忠信)は担当の介護職員の松本郁子(財前直見)が犯人と決めつけ、強引な捜査を行う。一方、濱中は次第に佳代に対して性的な嫌がらせをしていく。東京から取材に来た雑誌記者の池田由季(福地桃子)は、被害者が戦争中に人体実験を行った731部隊出身で、かつて大きな薬害を起こした人物と知り、その関係を調査していく。
【感想】
いろんな意識の高い進歩的文化人に受けそうな要素を詰め込んだだけで、無理のありまくりの脚本となっていました。まず、ツイッターの画像から2016年ごろの事件と思われますが、すでに終戦から70年以上たっているわけです。100歳の人でも終戦時30歳しかならないわけで、それで731部隊の幹部というのは無理がありすぎ。せめて時代設定を1980年代にすればよかったのに。731部隊を背景とされる薬害というとミドリ十字事件は1980年代なのにそこから30年後ではいくらなんでもありすぎ。また、厚労大臣程度が大事件をもみ消せるような国だったら、モリカケであんな騒ぎにならないって。いかにも左派が好きそうなお気持ち映画でした。
また、人工呼吸器が止まった施設で警察の強引な捜査による冤罪事件は湖東病院事件というのが実際にありましたけど、事件関係者に刑事が無理やり性的な嫌がらせを働くというのは突飛すぎます。濱中が単なる変態的な性欲の持ち主としても、佳代があらがいもせずにどんどん受け入れるなんて、これまた昭和のころの女性の人権など考えもしないAVみたい。
そのうえ、障碍者施設の事件ということで、やまゆり園事件の犯人に、こちらの事件の容疑者が共感していたと想起させるニュースなどを劇中に入れ、これまた最近の若い者はダメだというおっさん特有の上から目線で辟易としました。原作は未読なのですが、ちょっとひどい。
ひどかったのは、これら様々な要素がほとんどつながっていないことです。濱中と佳代が変態プレーをしても、殺人事件とはまったく無関係ですし、731事件のことはおそらく2人はしらないでしょう。エロも変態的なみせかたとはいえ、松本が売れっ子女優だけに脱ぎもしない。濱中の妻役の北香那が「春画先生」でみせた勢いの良さと比べてしまいました。
とはいえ、福士の言葉攻めによがる松本というのは、人気俳優を起用しているだけにそれなりのインパクトはありました。裸で四つん這いのシーンがあるのですけど、吹き替えをつかっていないのだったら本人も結構、覚悟したのでしょう。役者陣は大ベテランの三田佳子をはじめ、豪華メンバーがそろっていたのですが、演出のためか福地桃子のおどおどした記者が言い回しも態度もイライラさせました。大森監督も50代半ばなので、若い女性の造形がおじさん目線になるのかなあ。
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