作品情報 2023年韓国映画 監督:伊林侑香 出演:キム・ヘスク、シン・ミナ、カン・ギヨン 上映時間106分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2024年劇場鑑賞202本
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【ストーリー】
ポクチャ(キム・ヘスク)は天国で三日間の休暇が許され、ぎこちない関係のまま別れることになった娘のチンジュ(シン・ミナ)の様子を観に行くことにした。ただし、ポクチャの姿は現世の人間には見えないので、ただ様子を観ることだけだった。
ところが、アメリカで大学教授になったはずのチンジュは、田舎の村にある実家の食堂で一人働いていた。驚くポクチャは、チンジュの様子を見守ることにする。どうやら彼女は母の死に目に間に合わず、生前に冷たい態度をとっていたことが心をむしばんでしまったようで…
【感想】
孝行したいときに親はなしと言いますが、まさにそうだと実感しています。あの時に親にどうしてつらくあたったのだろう、もう少し面倒を見られたのではないか、普段は日常に隠れていますが、ふとした瞬間にそういう思いが心の表面に出てしまいます。だから、チンジュが心に深い傷をおったことに本当に同情、共感しました。僕の親も天国から見に来てくれればいいのにと思ってしまうことも。
生前、貧乏だったポクチャは娘の面倒をろくに見ないで働きづめ。さらに、チンジュは裕福な叔父夫婦に預けられたことで、ポクチャに見捨てられたと受け取ってしまいます。だから、生前から2人の関係はギクシャク。チンジュを大学院に行かせるために働きづめていたのに、自分よりも仕事が大事と受け取った娘と心が離れていく様子はなんとも悲しい。本当に親の気持ちをしらないで、子供はひどいことをしてしまうのだと泣きたくなります。
死んだ母と生きている娘を結びつけるのが食べ物というアイデアはいい。キムチチゲや大根入りギョーザといった庶民的料理ばかりですが、母親の味を再現しようと奮闘するチンジュ。そして母の親友の老女チュンブン(チャ・ミギョン)から、母親の味を超えたといわれ満足気なポクチャの表情をみると、やはり親心はありがたいなと思わされます。それにしても、これだけ韓国の素朴な料理がおいしそうに見える映画は初めてでした。
また、韓国映画らしく、ポクチャに振り回される天国の新人ガイド(カン・ギヨン)がコメディリリーフ的に登場。天国でもタブレットが普及しているなどしょうもないギャグも交えて、緩急をつけることで終盤の泣かせるラストへとつながっていきます。このあたりは韓国映画のメリットといえ、やはり死と生を扱った「祝日」やこの後でみた「わたしどもは。」と比べると、エンタメ的に感動させる点で一味違っていました。
また、チンジュのことを心配でソウルからやってきた親友のミジン(ファン・ボラ)の存在もいい。時には喧嘩をするけど、親がいなくても親友という存在がチンジュを助けてくれて、人間のつながることの重要性を実感させられます。僕には残念ながらミジンのような親友がいないので、チンジュのことが本当にうらやましかった。また、ラストは想定外の展開になって驚きました。この手の映画でありがちとはいえ、過去の回想シーンの使い方が本当にうまく、自分の人生とオーバーラップして涙が出てきます。
韓国を代表する母親役といわれるキム・ヘスクはさすがの存在感。シン・ミナもアラフォーだということを感じさせない透明感があって、この二人の組み合わせはすごかった。幽霊だから見えない設定だけど、互いを思いやっている雰囲気がよく出ていました。こういう地味な作品こそ傑作が隠れているのですよね。韓国の田舎を舞台にした映画なのにノラ・ジョーンズのテーマ曲もすごくはまっていた。
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