作品情報 2023年フランス映画 監督:ラジ・リ 出演:アンタ・ディアウ、アレクシ・マナンティ、アリストート・ルインドゥラ 上映時105分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2024年劇場鑑賞210本
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【ストーリー】
パリ郊外の地方都市にあるバティモン5と呼ばれる老朽化団地。住民の多くは不法移民で治安の悪化が問題となっていた。前市長の急死で臨時市長に選ばれた若き政治家ピエール(アレクシ・マナンティ)は、不法移民の取り締まりを厳格に行っていく。
一方、市の臨時職員で団地の若者たちのリーダー的存在の女性アビー(アンタ・ディアウ)は人権を無視するようなピエールのやり方に反発する。しかし、ピエールの強権発動はとまらず、町の雰囲気は険悪になり…。
【感想】
やはりパリ郊外の町の移民と警官、ギャングの衝突を描いた「レ・ミゼラブル」では物語的な結末を迎えます。しかし、本作はよりリアルに描いたのでしょうか、105分と上映時間が短いこともあり、その後にどうなったか知りたい部分をすっぽり落とした感じです。
自由や人権の国というイメージが強いフランスですが、市長や警官たちはものすごい高圧的。若者の夜間外出禁止なんて、そんな簡単にできるのかという感じです。しかしピエールは自分の身の回りの人には親切で、シリア難民を自宅でもてなしたりするのですから、不法移民が視野に入っていないということなんでしょうか。ここにも「関心領域」の世界があると思ってしまいました。
不法移民のなかには搾取されて苦しい生活を送っている人がいる一方、フランス語を全然覚えようとしない老人や、すぐ切れて暴れる若者もいて、地元の人との軋轢が生まれるのも無理はないという感じ。話が散漫になるかもしれませんが、一般の市民が市長を応援しているのか、それとも不法移民に同情しているのかがわかるような描写があってもよかったかな。
副市長で黒人のロシュ(スティーヴ・ティアンチュー)が、不法移民の有色人種たちから裏切者扱いされたりとかも考えさせられます。アメリカのトランプ政権が不法移民を取り締まったときに、合法移民の人たちはそれを応援したそうですから、同じ移民でもこうも立場が違っちゃうのかというのも、日本ではあまり感じられない驚きでした。
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