2024年06月17日

かくしごと

 杏が事故で記憶を失った児童虐待の子供を、自分の実子として育てようとするヒューマンドラマ。父親の認知症シーンも含めてまじめにとっているのだけど、「あんのこと」と同時期上映だったのは運が悪い。本作のほうがいかにもフィクションという感じを受けてしまいました。


 作品情報 2023年日本映画 監督:関根光才 出演:杏、中須翔真、奥田瑛二 上映時128分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜  2024年劇場鑑賞214本



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 【ストーリー】
 父・孝蔵(奥田瑛二)の認知症がひどくなったとの連絡を受け、7年ぶりに故郷の長野県の山村に戻ってきた童話作家の里谷千紗子(杏)。なれない介護に戸惑う中、幼馴染の野々村久江(佐津川愛美)と飲みに行った帰り、酒酔い運転だった久江が急に道に出てきた少年とぶつかってしまう。


 酒酔い運転がばれないようにとりあえず家に連れてきたが、少年は目覚めたときに記憶を失っており、自分の名前すらわからなかった。少年を看病したときに虐待のあとの傷を見つけた千紗子は彼を拓未と名付けて、自分の子供と嘘をついて育てることにする。だが、ニュースで少年が川に遊びに来たまま行方不明になって、捜索が続いていると取り上げられ…


 【感想】
 序盤の介護の場面は、自分も似たような経験をしたことがあるだけに非常につらかった。認知症で被害妄想がでたり、失禁をしたり。子供のころは親が完璧にみえただけに、その親の人間性がどんどん失われていくのはつらいし、なれないためについ当たり散らしてしまう千紗子のイライラも非常にリアル。ただ、役所の福祉課に務める久江や、孝蔵の幼馴染の亀田医師(酒向芳)が支援してくれるのは、普通の介護ではめったにない幸運時なんですけどね。


 さて、車にぶつかってけがをした9歳の少年を家に連れ帰ってからがいかにもフィクションっぽくなってしまいます。千紗子はかつて、自分の子供を目の前の水難事故で失ったことがあることが、拓未に盲目的な愛を捧げる理由となっています。しかし、身分を偽って拓未を虐待していた両親(安藤政信、木竜麻生)に愛に行って話をきくというあたりから、やりすぎ感がでてきました。かくしごとの意味がわかるあたりも、まあ、そうだろうねという感じで、やはりフィクションっぽさは否めません。


 孝蔵が認知症のため拓未を本当の孫と信じ込み、疑似家族となって仲良く粘土遊びや釣りをするあたりはちょっとほっとする描写です。それでも、学校もまもなく始まるだろうし、自分たち家族の破滅を招いてまでこんなことをする千紗子は頭がおかしいとしか思えず、後半はリアルさにかなりかけてしまいました。


 また、安藤政信扮する拓未の実父が虐待する理由もいかにもとってつけた感じ。いっそ、彼にそんな部分をしゃべらせないで、仕草などでわからせるようにすればよかったのに。「あんのこと」の虐待母(河井青葉)がやはりその親からひどい目にあったことをセリフでなくて、仕草でわからしたようなことができたら、本作はすごい映画になったのに惜しかったという感じです。そういえば、河井がほとんどセリフのない病院の受付役で出ていたのは笑えました。 
 
posted by 映画好きパパ at 06:14 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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