2024年07月01日

ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命

 英国のシンドラーと呼ばれ、669人のユダヤ人の子どもを救った実在のエピソードの映画化。「関心領域」「フィリップ」と違って王道的な描き方でした。


 作品情報 2023年イギリス映画 監督:ジェームズ・ホーズ 出演:アンソニー・ホプキンス、ジョニー・フリン、ヘレナ・ボナム・カーター 上映時109分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町  2024年劇場鑑賞234本



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【ストーリー】
 1988年、イギリスの老人ニコラス・ウィンストン(アンソニー・ホプキンス)は自宅の片づけをしていて古い鞄となかにあるスクラップブックをみつけた。それは彼が若いころにチェコから669人のユダヤ人の子供を助けた資料だった。


 1939年、証券会社に務めていたニコラス(ジョニー・フリン)は休暇中にチェコの難民キャンプにボランティアへいき、子どもたちが劣悪な環境に閉じ込められ、ナチスの侵攻におびえているのを目の当たりにする。子どもたちだけでもイギリスに脱出させようと、懸命の活動を始める。だが、それは命がけの仕事だった…


 【感想】
 ニコラス・ウィンストンのことは全然知りませんでしたが、過去にも映画化されているそうです。一番感慨深かったのは、単なるサラリーマンで、ごく普通の人にすぎなかったニコラスが、同じように普通の仲間たちと協力して命がけの任務に挑んだこと。母のバベット(ヘレナ・ボナム・カーター)が、困っている人を助けるよう幼いころから教育したことが大きいそうですが、僕だったら命がけで他人の子どもを助けようなんていうことはとてもできません。


 有力者にコネがあるわけでもなく、ひたすら知恵と根気で救出計画を遂行。チェコにいるニコラスから助けを求められたバベットが、役所にいって杓子定規な担当者をなだめすかせ、ついには感動的なスピーチでビザ発給までいたったというエピソードは、本当に普通の人でも熱意、努力さえあれば偉業をなせるということがわかります。


 しかし、現実は厳しく、資金もビザもないなか救出計画の対象となった6000人の子どもたちの1割しか救えませんでした。ウィンストンはそのことが傷となって、戦後もずっと黙っていて子どもたちとの交流もなかったそうです。それでも、収容所を生き延びたのは100人しかおらず、彼と仲間たちが救った669人というのはすごい数字。そんな彼が自責の念を長年抱いていたのですから戦争はやりきれない。


  映画では途中からイギリスに舞い戻って受け入れの責任者になりますが、チェコから脱出する子どもたちが無事に到着できるのか、チェコに残った仲間はどうなるのかハラハラしどおしでした。ちなみにエンディングロールでは主な登場人物のその後が伝えられますけど、ある人物はまったくふれられず、どうなったのか心配してしまいました。


 とにかく子どもの命は尊く、何とかしなければという気持ちになります。クライマックスでは映画館のあちこちですすり泣きが聞こえました。でも、同じユダヤ人の国のイスラエルが今、パレスチナで子どもを平気で虐殺しているというのも事実で、なんともやりきれない気持ちにもなります。


 過去と現在が入りこのように描かれており、現代編は名優アンソニー・ホプキンスはさすがの貫禄。脇にレオ・オリン、ジョナサン・プライスといった大ベテランがいて観ていて安心できます。一方、戦時中はジョニー・フリンが老人になったらホプキンスになるだろうなと思わせる表情だったのに舌を巻きました。チェコでの同僚役のロモーラ・ガモイの凛とした美しさ、怪優ヘレナ・ボナム・カーターが珍しく普通の母親役をしっかり演じています。また、本当に助けられた人やその子どもがエキストラとして登場しているのも見どころです。
posted by 映画好きパパ at 06:39 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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