作品情報 2022年アメリカ映画 監督:ダニエル・ゴールドハーバー 出演:アリエラ・ベアラー、サッシャ・レイン、ルーカス・ゲイジ 上映時間104分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2024年劇場鑑賞235本
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【ストーリー】
環境保護運動に取り組む女性のソチトル(アリエラ・ベアラー)は母親を石油精製所の公害で亡くしたうえ、親友のテオ(サッシャ・レイン)が末期がんと診断される。世間に広く石油化学の危険性を知らせるため、テキサスのパイプラインを爆破しようと決意する。
石油会社に先祖代々の土地を汚染されたネイティブアメリカンのマイケル(フォレスト・グッドラック)、パイプライン建設のために土地を奪われたテキサスの農場主ドウェイン(ジェイク・ウェアリー)ら計8人が仲間となり、計画準備は着々と進む。だが、メンバーの一人で環境保護運動家の女性ローワン(クリスティン・フロセス)にはある秘密があった…
【感想】
爆破に向けての準備中様々なトラブルが起きます。そのたびにどうなるのだろうと思ったとたん、メンバー一人一人の過去のエピソードにとび、彼女や彼らがなぜ計画に加わったのか、石油会社やアメリカ政府がいかにひどいことをしてきたのかが描かれます。スピード感はそぎますが、群像劇としては各キャラクターをうまく掘り下げました。
アメリカでテロへのシンパシーをあからさまに感じさせる映画がよく上映できたと思いますが、映画批評サイトのロッテントマトでは94%が支持しています。やはり、社会派のテイストをもちつつも、キャラクターの書き分け、実行に向けての細かな準備やトラブルをどう切り抜けるかというサスペンス要素がうまくいっていることが大きいのでしょう。また、死傷者を出さないように細心の注意を払っているところも単なるテロとは違うというメッセージなのかも。
メンバーは全員負け組で、30代のドウェインを除けば若者ばかり。格差がひどくなる一方のアメリカで、社会への不満を環境保護運動をはけ口とすることで自分たちの生きる意味を納得させたかったのかもしれません。大儲けしている石油会社や投資家に(パイプラインの爆破で石油市場を混乱させ投資家に打撃を与えるのも目的)打撃を与えようとすることに、アメリカでも未来に希望がもてない若い世代は拍手喝采なのでしょう。ある意味、日本社会も同じなのかもしれませんが。実際にFBIはこの映画に懸念を示し、エネルギー施設のセキュリティ強化を指示したそうです。
ノースターですが、アリエラ・ベアラーは、ゴールドハーバー監督と一緒に脚本も手掛けています。ノースターゆえに、だれがどうなるかわからないというドキドキ感がありました。また、テキサスの砂漠のような荒野でのシーンが大部分であり、アメリカの灼熱と不毛さが絵柄やBGMから伝わってきました。エンドロール中に、各自のその後が描かれるのでお見逃しなく。
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