2024年07月04日

ルックバック

チェンソーマンの藤本タツキの短編漫画を、押山清高が監督、脚本、キャラクターデザインを1人で手掛けてアニメ化。創作者にとって非常にエモい作品で世評が高いのがわかるのですけど、特典で配られた漫画と登場人物の苗字が違うのはなぜだろう。 


 作品情報 2024年日本映画アニメ 監督:押山清高 声の出演:河合優実、吉田美月喜 上映時間58分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎  2024年劇場鑑賞237本




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 【ストーリー】
 雪国の小学4年生の少女、藤野(声・河合優実)は漫画が得意で、大人たちも感心するほど。学年新聞に4コマ漫画を連載して、周囲からは将来、人気漫画家になるともてはやされいた。ある日、同学年の不登校の女子、京本(吉田美月喜)の漫画も載せてほしいと教師に頼まれる。


 京本の絵は写実的でプロの作画といっても通用するほどで、藤野は衝撃を受けた。何とか京本に追いつこうと、必死で絵の勉強を始めるが、家族や同級生からはいつまで漫画を続けるのかと忠告され、とうとう漫画を断念する。卒業式の日も不登校だった京本の家に、卒業証書を持っていくよう担任からいわれた藤野だったが…


 【感想】
 幼いころから天才といわれていたのに、さらに自分では勝てないという超天才にあったらどうするのか。小学生でそんな挫折を味わった藤野。さらに小さいうちはちやほやしていたのに、小学校高学年や中学生になるにつれ、友達や家族との日常、将来に向けた普通の勉強やスポーツをしなければならないというしがらみがでてきます。


 一方で京本はずっと不登校なだけに、周囲とのしがらみはなく自分で絵の勉強を貫くことができました。本作の白眉というのは、その京本も藤野のストーリーテリングは天才的であり、自分がかなわないと思っていたところです。それぞれが違う分野で得意なことがあったわけで、2人の友情、そして漫画以外のものはすべてそぎ落とすストイックさはただただ感嘆するばかり。ティーンでこれだけ研ぎ澄まされた青春を送れるというのはすごい。


 2人の合作は少年ジャンプのコンテストで準優勝し、読み切り漫画を掲載できるようになるなど着実にステップアップしていきます。しかし、成長するにしたがって、それぞれの目標が違ってくるのも悲しい現実。さらに、実際の悲劇にインスパイアされたのではないかと噂されるような事態へと移っていきます。


 とにかく、創作にむきあうことはどれだけ心身を削られるのか。そこからしか得られない成果があるわけで、たとえ途中で降りたとしてもそのような経験を得られただけでも一生の宝といえましょう。さらに、名作映画やロックのオマージュにちりばめられた藤本の原作を見事にアニメという動く芸術に落とし込んだ押山の手腕はすごい。藤野の4コマ漫画をうごくようにしたり、窓の外の四季だけで時間経過を納得させるなど、ただただアニメをみとれていました。ちなみに藤野と京本は藤本から1字ずつとっており、2人は原作者の分身なのかも。


河合は「あんのこと」の演技もすごかったけど、声優としてもうまいですね。アニメ専門の声優と違っているけど、小学生から大人まで一人でたしかに藤野という女性がいたということを伝えてくれる。吉田との組み合わせも最高で、なんともエモい関係が出来上がっていました。ただ、僕自身は創作活動とは無縁のためか、うまいとは思うけど心が動くまではいかなかったのですよね。この辺りは、観る人によって全然受け止め方が違ってくるのでしょう。
posted by 映画好きパパ at 06:03 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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