作品情報 2023年タイ映画 監督:ワンウェーウ・ホンウィワット、ウェーウワン・ホンウィワット 出演:ティティヤー・ジラポーンシン、アンソニー・ブイサレート、スパクソーン・チャイモンクル 上映時間122分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:シネマジャック&ベティ 2024年劇場鑑賞240本
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【ストーリー】
タイの双子の女子中学生、ユーとミー(ティティヤー・ジラポーンシンが一人二役)はいつも一緒で大の仲良し。時には入れ替わって周囲の反応を楽しむいたずらをしていた。数学な苦手なユーの代わりにミーが追試を受けるが、鉛筆を忘れてしまう。そこへ同級生のマーク(アンソニー・ブイサレート)が自分の鉛筆を半分に折って貸してくれる。
夏休み、2人の父と母(ナティー・ガームネオプロム、スパクソーン・チャイモンクル)が大喧嘩して、2人は母とともに母の実家の農村で過ごすことになる。村の伝統楽器、ピンを習いに行ったユーは、教室でマークと再会する。マークはミーと思って追試のことを話しかけるが、慌ててごまかすユー。しかし、教室で顔を突き合わせるうちに2人は恋に落ちてしまう。デートのために自分がないがしろにされたと思うミーは面白くなく…
【感想】
タイもノストラダムスの大予言やY2K(西暦2000年問題)が話題になっていたんだとびっくりかつ、懐かしく思いました。スマホがない時代って、電話をかけるときはドキドキしたんだよなあー。いつも一緒で、相手が先に死ぬことなど考えられないという二人。まだ思春期になりかけで、そういう厨ニ病的発想が傍から見ているとかわいい。
それが、ユーが初恋をしてミーよりもマークを優先するようになって関係が微妙に変化していきます。さらに、両親は大喧嘩して別居してしまう。ミーにとっては大切な家族を一度に失うようで不安だったのでしょう。一方、ユーは恋をしつつもミーが大切。さらに、マークは最初に出会ったのがミーだと知らないため、3人の関係は奇妙な状況に陥っていきます。3人ともまだ子どもで、キスのことでキャーキャーいうのだから観ていてエモい。8秒間見つめたら恋に落ちるとか懐かしい。まあ、これまで肉まんにしても好きなものは2人で仲良くわけていたけど、恋人を分け合うわけにはいかないですからね。
象徴的だったのが2人が夏休み中にそれぞれ初潮を迎えるということ。恋とは別の話とはいえ、心も体も大人になりかけで、両親に庇護されて姉妹がいつも一緒に楽しく過ごせた子ども時代が終わるということを暗示してきます。同時に2人も徐々に性格の違いがでてきてしまいます。大人になるといろんなことができる一方、失うことも結構あるんだなと、僕自身が中学生のころを思い返してしまいました。僕は双子ではないけど5歳下の弟がいて、当時はあんなに仲良しで兄になついていたのに、今では1年に1、2回会うのが関の山。そこだけ切り取ったらやはりさみしくなりますね。
クライマックスのピンチはいかにも映画的で個人的にはあまり気に入りませんでしたけど、冒頭の二人が入れ替わってずるをするシーンから、最後のなんとも言えない切なさマックスの選択まで、子どもにとっては大きな話だけど大人にとってはありふれたエピソードの羅列なのに、この時間をずっと楽しみたいと思いながら、あっという間に時間がすぎちゃいました。
双子をティティヤー・ジラポーンシンが一人二役で演じていたというのはエンドロールで知ってびっくりしました。完全に本当の双子を起用していると思ったから。彼女は新人俳優ですが、微妙な2人の性格の違いをよく演じていました。予告編にある2人がノリノリでダンスを踊るシーンなんか、うきうきしながら楽しんでいたのに、どうやってとったのだろう。合成技術が進歩したということでしょうか。
監督のホンウィワット姉妹自身が若い双子なので、メインプロットはフィクションですけど、細かい双子あるあるは盛り込んでいるそうです。エンドロールの花火のアニメもおしゃれ。上映館は少ないですが、この夏の思い出となる珠玉の映画でした。
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