作品情報 2024年日本映画 監督:三木康一郎 出演:奈緒、猪狩蒼弥、風間俊介 上映時間116分 評価:★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2024年劇場鑑賞247本
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【ストーリー】
高校教師の原美鈴(奈緒)は内向的で人付き合いが苦手な性格。親友の渕野美奈子(三吉彩花)からはもう少しおしゃれをするようにいわれるが、受け流していた。その美奈子が恋人の早藤雅巳(風間俊介)と婚約したと報告して、美鈴は動揺する。
実は以前から早藤に性暴力を受け続けていたのだ。それは2人の婚約が決まった後も続いていた。一方、生徒の新妻祐希(猪狩蒼弥)が、バイト先の大人の女性とラブホテルにいったといじめられており、美鈴が指導することになったのだが…
【感想】
AVかと思うほど、怒鳴りつけながら一方的に襲い掛かる性暴力シーン。人気俳優なのでヌードなどはありませんが、かなりあざといシーンはあります。現実にこういう犯罪が起きているということを提起したいのかと思いきや、公式サイトで「早藤を忌み嫌いながらも、快楽に溺れ」などと書かれていたのを見ると、制作側も単なるネタとして消費しているというふうに思えてしまいます。こういうAVで興奮するような連中向けではないかと嫌悪感でいっぱいになりました。
また、奈緒がインティマシー・コーディネーター(IC、性的なシーンで制作側とキャストの間に入ってサポートする役柄)の導入を希望したにもかかわらず、三木監督が断ったことでも炎上しています。舞台挨拶で奈緒は問題ないとの見方を示したけれど、映画を観ると三吉もかなり過激なシーンがあるし、加害者役の風間や撮影当時は19歳だった猪狩にも必要だったのでは。さらに、奈緒のような知名度のある女優がICを断られても問題ないと公言することも、他の作品に悪影響を及ぼすのではと思ってしまいます。ちなみにICについては、NHK大奥でのICを絶賛した高嶋政伸の手記が素晴らしく、ぜひ読んでほしい。https://www.bookbang.jp/article/774792
さて、炎上部分から離れても、男と女の役割を単純化しすぎています。要は男はどんなときでも悪で、女はどんな時でも弱い被害者といったところでしょうか。でも、映画内でも新妻がバイト先の大人からせまられたのに、女性が弱い被害者というのは非常に違和感を覚えます。まして、ゲイやアセクシャルなど性が多様化しているなか、それこそAV的なマッチョな男にか弱い女性というステレオタイプというのも鼻につきます。
三木監督はテレビ東京のドラマ「来世ではちゃんとします」で、多様な性にまつわる問題を上手くコミカルに映像化しているだけに、本作での描写は非常に残念。演技がうまくて悪役がはまりすぎていた風間をはじめ、他の出演者にとっても経歴に汚点がつきそうなきがしました。
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