2024年07月20日

密輸1970

 まだ貧しく、女性差別もえぐかった1970年代の韓国を舞台に、虐げられていた海女さんたちが悪い男らに逆襲するエンタメ映画の快作です。


作品情報 2023年韓国映画 監督:リュ・スンワン 出演:キム・ヘス、ヨム・ジョンア、チョ・インソン 上映時間129分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ  2024年劇場鑑賞252本



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 【ストーリー】
 1974年、新しくできた工場からの公害でアワビが全滅し、漁村のクンチョンの海女たちは生活に困っていた。海女たちのリーダーのジンスク(ヨム・ジョンア)は、仲間のチュンジャ(キム・ヘス)の提案で、日本からの密輸団に協力し、密輸船から海底に投げ込まれた金塊などを回収することを決める。漁船の船長で父親のオム(チェ・ジョンウォン)の反対を押し切った密輸は大成功。海女たちの生活が楽になる。しかし、2回目の密輸のときに、チャンチュン(キム・ジョンス)率いる税関の捜査隊に現場を踏み込まれ、オムは死んでしまう。


 海女たちは逮捕されたがチュンジャの姿はなかった。彼女が税関に密告したとしんじたジンスクは復讐を誓う。3年後、ソウルに逃げていたチュンジャは、密輸王のクォン(チョ・インソン)に命を狙われるが、逆にクンチョンでの大規模な密輸を提案。ジンスクの弟分の船員で、今はチンピラのリーダーとなったドリ(パク・チョンミン)を下っ端に使って、ダイヤモンドの密輸を計画する。しかし、ジンスクや税関のチャンチュンがそのことを知り、海女、密輸王、地元チンピラ、税関のよつどもえの死闘が始まる


 【感想】
 悪い奴はとことん悪く、横暴な男たちに苦しめられながら、海女さんたちが智恵と度胸、そして海女ならではの技術を生かして立ち向かう姿は本当にスカッとする。前半は理不尽に痛めつけられ、中盤で智恵勝負で伏線を作り、終盤で一気に大逆転というのはエンタメの王道です。さすがは「モガディシュ 脱出までの14日間」、「ベルリンファイル」などの傑作を手掛けたリュ・スンワン監督だけあります。


 韓国映画らしくアクションも見ごたえがあり、クォンとドリのグループの大乱闘は刃物を使って、本当に痛そう。韓国映画らしい泥臭いアクションでした。一方、クンチョン沖には人食いサメがいて、海中を知悉している海女さんでなければ潜れないという演出もいい。4つどもえの戦いにサメまで出てくるのだから、おなか一杯で大満足。


 70年代の舞台設定ということで、ファッションもそうだし、金やダイヤモンドだけでなく日本の家電や食品も密輸品としてありがたがられるなど時代を感じます。ふんだんに流れる当時の歌謡曲も映画にうまくはまってました。今よりももっと男尊女卑がひどく、官憲も腐敗しているというのもいいアクセント。海女たちの団結力の強さは目を見張るほど。


 キム・ヘスは「国家が破産する日」のエリート銀行員から一転して、ケバくて胸元の広い安っぽい服をきた姉御姿。篠原涼子をさらに蓮っ葉にした感じ。一方のヨム・ジョンアは若いころの清楚美人の印象は消えましたが、沈着冷静に復讐と海女たちの生活向上を願うリーダーという感じで、まさに好対照。さらに、珍しく悪役をノリノリでやっているチョ・インソン、海女ではないけれど、ジンスクたちを助ける喫茶店のマダムオップン役のコ・ミンシも、ベテラン女優たちに負けない奮闘ぶりで目を引きました。
posted by 映画好きパパ at 18:00 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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