作品情報 2023年フランス映画 監督:マリー・アマシュケリ 出演:ルイーズ・モーロワ=パンザニ、イルサ・モレノ・ゼーゴ、アルノー・ルボチーニ 上映時間83分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマズ港北 2024年劇場鑑賞254本
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください

にほんブログ村
【ストーリー】
パリでシングルファザーの父(アルノー・ルボチーニ)と暮らす6歳の少女クレオ(ルイーズ・モーロワ=パンザニ)は乳母のグロリア(イルサ・モレノ・ゼーゴ)を実の母親のように思って懐いていた。しかし、グロリアの母が亡くなったため、アフリカのカーボベルデに帰国してしまう。
夏休み、どうしてもグロリアに会いたいクレオは父を説得して、一人でカーボベルデへ向かう。感動の再会をした2人だが、グロリアの実の娘のフェルナンダ(アブナラ・ゴメス・バレーラ)と息子でクレオより少し年上のセザール(フレディ・ゴメス・タヴァレス)は複雑な思いでいた。
【感想】
日本と違って欧米ではナニーが普通にいるみたいですが、幼いころに母親を病気で失い、父は仕事で忙しい仲、クレオはグロリアのことが本当に好きで、べったりと甘えます。一方、グロリアも故郷に置いた子どもたちの代わりに、クレオのことを愛します。日本では恥ずかしいほどべったりの2人。そんなグロリアが故郷に帰ることになり、クレオの落胆ぶりは観ているこちらの心が痛くなるほど。
夏休み、1人でアフリカに行けるとはすごいことですが、そこまでしてグロリアに会いたかったクレオ。しかし、言葉も通じず、セザールたちに歓迎されていない不安さのなか、さらにグロリアに甘えてしまいます。貧しいがゆえにフランスに出稼ぎに行かなくてはならなかったグロリア。貧富の格差が物語の背景にあることがよくわかります。
一方、クレオにしてもフランスにいた時のようにグロリアを独占できると思いきや、グロリアも実の子どものことがきにかかります。年長のフェルナンダは自分も妊娠しているのですが、セザールからすれば、自分から母親を奪ったのがクレオなわけで、アフリカが豊かだったらこんな目にあわなかったわけです。クレオとセザールそれぞれの気持ちもわかるし、グロリアに完璧な対応を求めるのは無理筋だし、このあたりの緊張は上手く描かれて、終盤どう着地するのか結構ハラハラしてみてました。
題材的には盛り上げられるのですが、フランス映画っぽくエピソードをつなぎあわせた淡々とした演出。それでも熱いほど照りつける太陽の日差しとどこまでも青い海の豊かな自然、それに対比する子どもたちの間の複雑な感情は、エモさを呼び起こしてくれます。パンザニは本作が演技初挑戦だそうですが、まだ幼いのに長台詞を含めてよく演じていました。こういう幼い子がつらい目にあわないためにはどうしたらいいのか、ちょっと考えてしまいます。
【2024年に見た映画の最新記事】