作品情報 2023年日本映画 監督:井上森人 出演:金子清文、藤村拓矢、中西裕胡 上映時間77分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:横浜ムービル 2024年劇場鑑賞255本
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【ストーリー】
著名な温泉地、S県暑海市で温泉旅館から宿泊客が失踪する事件が相次いだ。一方、海ではサメの犠牲者とみられる遺体も見つかる。二世の若手市長、万巻貴一(藤村拓矢)に依頼された海洋学者も犠牲となった。暑海警察の東伝兵衛署長(金子清文)は、異端のサメ研究者、巨勢真弓(中西裕胡)と協力し、古代ザメが市長の計画した巨大温泉施設工事のためによみがえり、温泉管を移動して人間を襲っていることを突き止める。
経済面への打撃を恐れる市長と対立しながら東と巨勢はサメ退治に乗り出すが、その間にも犠牲者は拡大。やがて…
【感想】
サメのCGはすごいチープなんですが、序盤から大活躍。犠牲者はものすごい数がでます。しかも、古代サメということで、現代の我々には想像のつかない能力があり、劇中で巨勢博士が何度も「生命は不思議」とつぶやきますけれど、正直、ありえない設定を科学っぽいセリフを織り交ぜねじ伏せる脚本はお見事でした。
冒頭はサメ映画の定番といえる、海で泳いでいる水着美女にサメが襲い掛かるところからスタート。序盤は犯人(犯サメ?)を突き止めようとする署長と巨勢博士の調査、一方、市長が経済を優先して犠牲者が増えてしまうというのもまた定番。ワクワクしながら見ていたら中盤で確変しました。
シン・ゴジラばりの大パニック映画になったのです。対策会議のシーンや自衛隊の秘密兵器の登場シーンなどはあきらかにシン・ゴジラの影響でしょう。しかも、チープな予算のわりに地元の協力を得ており、エキストラがたくさん参加。サメの襲撃から逃げ回る群衆シーンなど、結構さまになっています。そして、終盤はもう、パシフィック・リムのオマージュでしょう。ジョーズ、Megといったサメ映画をはじめ、数多くのSF映画やアニメを想起させる映画愛にあふれた作品。熱海警察署の伝兵衛刑事といえばもちろん、つかこうへいの熱海殺人事件ですしね。
また、何気ないところに伏線をちりばめているのもいい。序盤の大したことのなさげな場面が終盤しっかりいきてくるというのは素晴らしい。そして、チープさを逆手にとって、こちらの想像をはるかにうわまわるストーリー。この手の映画の犠牲者になる人ってきまっているのに、あえて底を外しているうえ、見せ場があったりするので結構、楽しめました。壮大な主題歌もユーチューブで何度もリピートしてみています。
出演者の人はほぼノースターですが、中西は麻生久美子に似た感じで、大真面目に演技をしているのにコメディエンヌとして一品。頼りない二世市長役の藤村も爆笑問題の田中を若くしたようで、こちらもまじめな演技なのが妙におかしい。金子のやる気のない定年間際の署長が覚醒するというのもあっていたのですが、妻役におそらく本作で一番知名度がある俳優の高樹澪が起用されていたのは驚きました。そして、謎のマッチョ(椎名すみや)。たしかにMegのジェイソン・ステイサムもマッチョですが、本作のマッチョはそれよりもはるかにマッチョ史上に燦然と輝く存在感を示しており、サメ映画とマッチョ映画の両立ができているのだから、変な映画が好きなマニアにはたまらない喜びです。
本作はクラウドファンディングで資金集めをしており、出資者はサメの犠牲者の遺影として登場できたそうで、こんな面白そうなクラウドファンディングをやっていたことを知らなかったのは一生の不覚(w)です。
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