作品情報 2023年イギリス映画 監督:シャーロット・リーガン 出演:ローラ・キャンベル、ハリス・ディキンソン、アリン・ウズン 上映時間84分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2024年劇場鑑賞259本
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【ストーリー】
母のヴィッキー(オリビア・ブレイディ)を病気で失った12歳のジョージー(ローラ・キャンベル)は学校や福祉事務所を叔父さんと暮らしていると騙して一人暮らしを満喫。生活費は親友のアリ(アリン・ウズン)と自転車泥棒をして稼いでいる。
ある日、金髪の若い男ジェイソン(ハリス・ディキンソン)が現れた。ジョージ―が生まれてすぐに父親になる自信がないと、妻子を捨てて音信不通になっていたのだ。12年越しに再会した2人のぎこちない生活が始まる。
【感想】
サンダンスで審査員大賞、イギリスでも賞レースを席巻したインディーズ映画。格差社会の中、貧しさを苦にせずに子どもが生きるというのは、この直前にみた「オールド・フォックス」と同様のプロットですが、周囲との絆が切れているという点では本作のほうがハードモード。そりゃやさぐれるはと思ってみてました。
貧しくても盗みなどをしてたくましく生きるジョージ―。学校や福祉事務所も踏み込んで彼女のことをみようという気がないというのは、疲弊している現代の官僚機構の象徴みたいなもんでしょう。盗みしか生きるすべをしらない彼女ですが、人生にはやたらポジティブだし、悪知恵もあります。イギリスの下層階級というのは実際こんな感じでしょうか。特にジョージ―の出演シーンがやたら原色でポップなイメージが差し込まれるます。同じくイギリスの下層階級を描いているケン・ローチ作品とは真逆で、リーガン監督が撮影当時はまだ20代でCM業界出身というだからでしょうね。
一方、ジェイソンは本当にだらしのない大人。ヴィッキーから重病になったと連絡があったのに、すぐには駆けつけないため死に目にはあえない。娘についても彼女の面倒をみようという気はあるけれど面倒くさいのは嫌。さらに自転車泥棒の方法など、犯罪を教え込むダメな大人。しっかりしているジョージ―とは好対照です。こういう情けない親が現実にいるのは日本も同様でしょう。最近、父と娘の映画が多いような気がしますけど、娘の父親である僕自身からすると、どうも自分とは違うと点数が厳しくなってしまうのですよね。
リーガン監督は2人を切り捨てるのではなく、優しく包み込むように撮っており、それ自体は悪くないのだけどそんなにスポイルしていいのかと思ってしまいました。ポップな感覚や、急に学校の先生や同級生が観客に向かって、彼女についてのインタビューに答えるような演出など、MVぽさを感じてしまいました。それが好みかどうかは観客しだいです。
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