2024年07月27日

フンパヨン 呪物に隠れた闇

 タイのホラー。それほど怖くはないけれど、田舎の村の伝統宗教や想像をうわまわる展開が続いて素直に面白かった。


 作品情報 2023年タイ映画 監督:ポンタリット・チョーティグリッサダーソーポン 出演:プーンパット・イアン=サマン、プーウィン・タンサックユーン、クナティップ・ピンプラダブ 上映時間107分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい  2024年劇場鑑賞260本



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 【ストーリー】
 バンコクの青年ターム(プーウィン・タンサックユーン)は兄のティーが出家して、ジャングルの奥にあるドンシンタム島の寺院に行った後、行方不明になったため探しに来る。村の人間は排他的だったが、現地で知り合った若い女性ミーナ―(タソーン・クリンニウム)と、彼女が世話をしている自閉症の青年テ(プーンパット・イアン=サマン)だけは親切だった。


 寺院ではティーが前住職を殺害して逃亡したと聞かされるが、心優しい兄がそんなことをしたとは信じられない。ドンシンタム島ではフンパヨンという土の像が信仰されていた。そして、タームが兄の捜索をはじめ、村人や僧侶たちと対立するにつれ、次々と恐ろしい事件が起こってしまい…


 【感想】
 村人や僧侶を含めると結構な登場人物がでるため、なかなか区別が難しかった。単純にいうと、不可思議な殺人事件の裏には、等身大のフンパヨンの呪いがあるというもの。前半は村や寺院のドロドロとした人間関係に巻き込まれながら、兄の行方を探すタームの心理描写が中心で、後半は襲い掛かる呪われたフンパヨンに、村の土人形製作者ニック(クナティップ・ピンプラダブ)や、寺院の小僧たちと逃げまどいつつ立ち向かう話となっています。


 タイの土俗的な信仰をモチーフとしたホラーは「女神の継承」がありました。本作でも冒頭、村の神様「ポープ―」をバカにした酔っ払いが、フンパヨンに殺されるエピソードから始まり、ポープ―やフンパヨンを信じ切った村人たちと、怪奇現象を信じないタームとの差がよく出ています。現代的なバンコクと、まだ開発されていない田舎の呪われた風俗というのは、日本でも昭和のころとかあったテイストのホラーでした。また、寺院は仏教なのにというあたりは、京極夏彦の鉄鼠の檻をふと思い出した。


 後半は一転、アクション風になりますが黒幕が意外で正直、予想から外れました。また、普通のホラーでは活躍しそうな人があっさり退場したり、逆に早々にやられたと思った人が実は生きていたり、放置されていたストーリーが実は伏線だったこともあり、ホラーマニアの心をくすぐるようなストーリーはよかったです。まあ、フンパヨンの造型がいかにも大昔の映画大魔神を等身大にした感じなので、怖さはあまりなかったですが。


 貧しいなかでも懸命に働くミーナ―のひたむきな美しさや、自閉症という設定もありコメディリリーフかつ思わぬ活躍をするテ、そして、怪奇現象に翻弄されるだけのタームやとにかく頼りになるニックなど登場人物のキャラもたっています。ジャングルや寺院の泥臭さと、現地の人気若手俳優をそろえたキャスティングもうまくかみ合っていました。
posted by 映画好きパパ at 18:00 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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