作品情報 2024年日本映画 総監督:村瀬継蔵 出演:鈴木梨央、楢原嵩琉、佐野史郎 上映時間74分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷 2024年劇場鑑賞272本
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【ストーリー】
日本を代表する特撮造形作家の時宮健三(佐野史郎)が亡くなり、遺作展が地元の出雲で開かれることになった。孫娘の朱莉(鈴木梨央)は祖父に怒鳴られたこともあり、特撮に全く興味がなかったが、会場で特撮オタクの同級生、城戸卓也(楢原嵩琉)に見つかり、つきまとわれてしまう。
そこへ穂積(斎藤工)と名乗る男が、時宮の幻の作品、「カミノフデ」に出てくる、描いたものをなんでも実体化させる不思議な筆を探してほしいと話しかけてくる。うさんくさく思う朱莉は断るが、次の瞬間、なんと「カミノフデ」の世界に卓也とともに瞬間移動してしまう。そこは怪獣や不思議な動植物がある異世界だった。驚きながらも、2人は冒険を始める。
【感想】
僕は村瀬の名前を知らなかったのだけど、ゴジラ、仮面ライダー、ガメラ、大魔神、ウルトラマンAの造型を担当するなど、1950年代から活躍している特撮造型の第一人者。88歳にして初めての映画監督をつとめ、往年の怪獣映画をほうふつとさせるミニチュアや着ぐるみの特撮を堪能できます。かつて手掛けたキングギドラや大魔神のような造型が活躍するので、特撮ファンとしてはたまらないでしょう。通りで、インディーズの配信なのに、佐野、斎藤のほか、釈由美子、樋口真嗣など特撮ゆかりの人が脇役で登場し、東宝本社脇のTOHOシネマズ日比谷で上映されるわけです。主題歌もドリカムが完全にこの映画のために作ってますし。
冒頭は、数十年前に作られた「カミノフデ」の予告編。いかにも1960年代の特撮映画の趣があります。そして、現代にもどって学校で何となく浮いている朱莉と、同じクラスなのに話をしたこともなかった卓也が登場。最初はぎこちなかった2人が、大冒険をするうちに次第に絆を深めていく、一方でベタな恋愛には陥らないというのが、往年のジュブナイル作品の良さを出しているようで非常に心地が良い。
そして、異世界の大冒険が始まるわけですが、巨大怪獣が襲い掛かったり、建物を壊したりするシーンは、ミニチュアを丁寧に作ったセットを多用しており、今のSFX技術とは違う良さがあります。建物の内部から写すショット、自衛隊の戦車が出動するシーンなど、僕の世代からすればたまらない特撮シーンが連発。劇中の卓也でないけれど夢中になれます。全体のストーリーはベタですが、それも含めてなつかしさとワクワク感でいっぱいになります。ただ、全体的にまとまっていて「温泉シャーク」のような突出感はなかったといえましょう。
鈴木は子役時代から活躍していることもあり、非常にナチュラルな演技で感心しました。一方、「パブリカ」がヒットしたFoorinのメンバーだった楢原は、いかにも子役っぽい発声、演技ですが、鈴木のナチュラルな演技との対比や、往年の特撮番組オマージュっぽくてこの作品にははまってました。釈由美子がマンホール好きとの小ネタをはじめ、特撮あるあるのセリフ、場面があるのでディープなマニアほど楽しめるでしょう。
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