作品情報 2023年韓国映画 監督：キム・チャンフン 出演：ホン・サビン、ソン・ジュンギ、キム・ヒョンソ 上映時間123分 評価：★★★★（五段階） 観賞場所：川崎チネチッタ 2024年劇場鑑賞274本
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【ストーリー】
田舎町に住む高校生のヨンギュ（ホン・サビン）は、家では働かずに飲んだくれている義父（ユ・ソンジュ）の暴力をうけ、学校では義妹のハヤン（キム・ヒョンソ）をいじめから守ろうとして喧嘩をしてしまい、相手から高額の示談金を求められていた。
バイト先の中華料理屋の主人（チョン・マンシク）に前借を申し出るが断られ、困っていたヨンギュは偶然、町のヤクザ、チゴン（ソン・ジュンギ）と出会う。自分の高校時代と似た環境のヨンギュを気に入ったチゴンに気に入られたヨンギュは、彼のもとでチンピラデビューをするのだが…
【感想】
人生の負け組はどうあがいても負け組というような縮図を、陰鬱な雰囲気で流していきます。バイク窃盗団や高利貸を率いるチゴンは、喧嘩もあるし、男気にあふれており、若いチンピラたちからみればカリスマのよう。しかし、ヤクザ組織のなかではボス（キム・ジョンス）にこき使われる存在でしかありません。
チゴンにごちそうやブランド物の服をもらい、小遣いをもらったヨンギュは次第に気が大きくなります。妹をいじめる相手を、チンピラの先輩スンム（チョン・ジェグァン）にぼこぼこにしてもらう。今まで苦労した中華料理店のバイト代よりはるかに高額の小遣いをもらえる。ただ、うれしかったのは最初だけ。
ヤクザのやっている人は善良な人たちを苦しめ、傷つけること。ヨンギュが嫌がっても、チゴンからの命令は絶対です。高校時代は義妹を守ろうとしたり、近所の幼児と遊んだり優しい性格をみせていたヨンギュですが、チゴンの手先となって悪事をしなければなりません。断ったら自分や家族に危害がくわえられるわけですから。どんどん悪事に染まっていき、顔も険しくなっていく姿がみていられません。
クライマックスはいかにもお話っぽくなってしまいましたが、そこにいたるまでは結構、リアルっぽく、かつ韓国映画によくあるユーモラスなシーンも皆無です。貧困、ＤＶやいじめの被害者が、まともな生活をしたくてもどうしようもないほろ苦い現実を突きつけます。
ホン・サビンは映画初主演でオーディションで抜擢されました。よくある韓流の美青年でなく、森廉のような印象的な目を持つ土に根ざしたような顔。一方のソン・ジュンギは松坂桃李の若いころを想起させる２枚目ですが、自身のどうしようもない運命を悟った暗い表情はすばらしい。また、勝気だけどきょうだい愛をしっかりみせるハヤン役のキム・ヒョンソが、非常においしい役となっていました。
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