2024年08月16日

ブルーピリオド

東京芸大を目指す若き画家の卵を描いた青春映画。受験映画はこれまでもあったけど、芸大受験は珍しいし、勉強以上に才能が必要な絵画の世界の葛藤をきっちり描いているのは面白かった。


 作品情報 2024年日本映画 監督:萩原健太郎 出演:眞栄田郷敦、高橋文哉、石田ひかり 上映時間115分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズゆめが丘  2024年劇場鑑賞282本



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 【ストーリー】
 都立高校2年の矢口八虎(眞栄田郷敦)は金髪イケメンで、勉強も遊びもそつなくこなしていたが、どこか空虚な日々を送っていた。ある日、クラスメイトで女装をしている美術部員、鮎川龍二(高橋文哉)からそのことを指摘されるが反論できない。


 美術の課題に悩む中、美術部3年の森まる(桜田ひより)の作品を観て衝撃を受ける。美術教師の佐伯(薬師丸ひろ子)や鮎川の存在もあり、絵を描くことに情熱を燃やし始めた矢口は、国内最難関の東京芸大進学を志す。だが、美術教室で同じく芸大志望の高橋(板垣李光人)と、自分の間にあまりにも実力差があることに気づき…


 【感想】
 僕は絵の才能がまったくなく、本作で登場する矢口、森、高橋らの絵画を見てもどれがうまいのかまるでわかりませんでした。しかし、未来に夢を持たず何となく有名大学からサラリーマンになればいいと思っていた矢口が、絵や切磋琢磨する仲間たちと出会うことで人生の素晴らしさに気づくというストーリーはなんとも心地が良い。


 絵画の天才である高橋に負けずに芸大に進学するためにどうすればいいのか。自分が天才でないぶん、ひたすら努力するというのはある種スポ根にも通じるすがすがしさがあります。もちろん、矢口にも才能があったからなんでしょうけど、彼の絵への思いの熱さはみているこちらにどんどん伝わってきます。よくある恋愛、試合での勝利、病気などのエピソードは一切登場しないで、それでも上質の青春映画に仕上げているのはすごい。


 さらに、鮎川という自分の性的アイデンティティに悩むライバルをおくことで、社会性にも配慮しています。ライバルとの友情なんてまさに青春映画の醍醐味でそれがいまふうにアップデートされているわけですから。佐伯や矢口の母(石田ひかり)、美術教室の講師、大葉(江口のりこ)ら、大人がきちりと若者たちと適切な距離をもって見守り、指導するという関係も良い。惜しむらくは上映時間が短いことで、ライバルのエピソードなどはもっと盛り込めただろうけど、逆に矢口のエピソードに絞ったことで疾走感をみせていました。


 眞栄田郷敦はもう24歳なのですが、自分の夢や将来に惑う高校生役にぴったり。ただ、桜田ひよりの後輩役というのはちょっと厳しかったかも。まあ、同級生や美術教室の仲間たちを含めて若手キャストはいずれもまっすぐな感じで好感を持てました。暑い夏に負けないさわやかな気持ちにひたれます。
posted by 映画好きパパ at 06:28 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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