作品情報 2024年日本映画アニメ 監督:山田尚子 声の出演:鈴川紗由、石あかり、木戸大聖 上映時間108分 評価:★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2024年劇場鑑賞311本
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【ストーリー】
長崎のキリスト教系の女子高に通う日暮トツ子(鈴川紗由)は、色彩感覚が常人よりもはるかに豊かで、人の感情を色でみることができた。同級生で美しい色を放つ少女、作永きみ(石あかり)が学校を辞めたことを知り、彼女がバイトしている古書店を探し出す。
きみに何しに来たのか問い詰められたトツ子は、ピアノの楽譜を探しに来たと嘘をつく。 居合わせた男子高校生の影平ルイ(木戸大聖)も含め、バンドをやろうという話で盛り上がる。寮生活で厳しい校則の学校だったが、ロックやトツ子たちに理解を示すシスター日吉子(新垣結衣)の後押しもあり、3人は文化祭でライブを開くことを決める…。
【感想】
序盤はあまりにも豊かすぎる原色で幻想っぽい、トツ子の観た世界にうっとりとしたのですが、それ以降、彼女の得意能力は本筋とあまり関係なくなります。ただ、きみやルイがきれいにみえたというだけで、タイトルが「きみの色」のわりに、色の特殊能力を持つ意味が分かりにくかった。トツ子のルームメイトたちも善人なのに、彼女たちの色については見えても特に言及もないし、主人公たち3人と日吉子以外はみんなモブなのかと内心冷ややかに。
また、3人のバンドをやる理由も、ルイときみは家族に自分のことを正直に言えないという、非常に甘い理由。だいたい、高校を中退したら学校側から保護者に連絡がいくだろうに、そのことを隠して毎日学校に行くふりをして制服を着て家を出るなんて、リストラされたサラリーマンが家族に言えずに会社にいくふりするのと一緒だろうと突っ込みたくなりました。
思春期のエキセントリックなほどのとんがりかたという意味では「ぼっち・ざ・ろっく」にかなわない。また、「ガールズバンドクライ」が女性が経済的に自立、生活することの大変さを背景に取り込んでいるのに、本作は3人とも経済的には問題がなく、甘やかされているのではとすら思ってしまいました。このへんはおっさんの僕だからで、若いアニメファンからすれば、キャラクターの掘り下げ、社会問題の取り込みなんていうのは不要なのかもしれません。でも、高校生のバンドシーンでいえば、アイルランドの「シングストリート」のライブシーンが大傑作と思う僕からすると、ごく普通どころか恵まれている高校生たちの甘やかされた思いをバンドにぶつけるという構図がはがゆかったのです。
ライブで披露されるオリジナル曲は3曲ありますが、それよりもエンディングでミスチルが流れたことに驚愕。劇中のバンド「しろねこ堂」はボーカルがきみ。トツ子の作ったおかしなオリジナルソングなどでライブを盛り上げてくれました。それが、いきなり有名アーティストとはいえ、おっさんの曲かよというのでがっかり。エンディングもしろねこ堂の曲でよかったのに。
鈴川はまったく無名の若手ですが、オーディションで選ばれたシンデレラガール。彼女もよかったですが、アクションのイメージが強い高石が、山田作品に良く出てくる黒髪、ロングのクールな美少女をあてているというのも驚きました。また、トツ子のルームメイトのさく役に、今もっともホットな女性芸人のやす子が起用されています。彼女が声優をするのを初めて見たけど、さすがに山田監督作品だけあって、俳優、芸人もうまく世界観に引き込んでいました。
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