2024年09月07日

箱男

 安倍公房の50年前の小説を石井岳龍が映画化するということで、昭和の臭いがぷんぷんすると予想した通りのでき。何しろこの座組での構想は1997年からあったそうですから。昭和のころの映画といっても通用しそうな中身ですが、不条理で観念的なところがあわず、睡魔との戦いに。


 作品情報 2024年日本映画 監督:石井岳龍 出演:永瀬正敏、浅野忠信、白本彩奈 上映時間120分 評価:★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ座間  2024年劇場鑑賞314本



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【ストーリー】
 段ボールを頭からかぶり、街中で一方的に世界を窃視する箱男。「箱男を意識する者は、箱男になる」の通り、カメラマンのわたし(永瀬正敏)も箱男に魅せられ、ついに箱男になった。


 一方、箱男の存在を知るニセ医者(浅野忠信)は、看護師の葉子(白本彩奈)を使って箱男に接近。自らも箱男になろうとする。果たして本物の箱男は…


 【感想】
 石井監督の近作「パンク侍、斬られて候」や「蜜のあわれ」はシュールだけど、租借しやすく楽しめました。一方、本作は箱男という存在が、1970年代の過激派闘争など騒然とした時代を背景に、社会からの孤立や超然とした観察者といったものとして作られており、当時のコンテキストを知らないと、よくわかりませんでした。


 もちろん、現代でもネット社会の匿名性やプライバシー無視など、箱男的なものというのは僕らの生活のノイズとしてあるのだけど、そういったことまで考えてしまうと、どちらが本当の箱男とか、ニセ医者のバックにいる軍医(佐藤浩市)とか、いかにもドタバタ喜劇っぽい部分とそぐわないのですよね。


 そのドタバタの部分もある意味シュールだし、俳優も含めて昭和っぽい古さにあふれていて理解できませんでした。ストーリーよりも、抽象的に伝えようとする作品はやはり苦手だなあ。まあ、演技派で知られるベテランで一癖ある俳優たちのお祭りと割り切ってみることも可能でしょうけど、ちょっとついていけませんでした。


 個人的に驚いたのは白本はヌードシーンがあるんですが、スタッフにちゃんとインティマシー・コーディネーターの西山ももこがクレジットされていたこと。石井監督ほどのベテラン監督ですら、きちんと向き合うんだと、映画界が変わっていることを納得させられました。彼女がわたしやニセ医者とのシーンはなんとも幻想的で、そこだけ見ていてもよかったかもしれません。
posted by 映画好きパパ at 19:00 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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