2024年09月16日

ラストホール

 純文学で私小説というのがあって、作者の経験をそのまま小説にするというものなんだけど、その映画版といいましょうか。監督、主演、脚本の秋葉美希の思いは詰まっているのだけど、まったく無縁の僕からすると説明がなさすぎてよくわかりませんでした。


 作品情報 2023年日本映画 監督:秋葉美希 出演:秋葉美希、田中爽一郎、川瀬陽太 上映時間71分 評価:★★(五段階) 観賞場所:テアトル新宿  2024年劇場鑑賞327本



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 【ストーリー】
 東京でダンサーとして活躍する牧野暖(秋葉美希)は、6年前に田舎で一人暮らしをしていた父の陽平(川瀬陽太)を病気で失ったことが、心の傷として残っていた。


 ある日、幼馴染の三嶋壮介(田中爽一郎)が上京して、陽平から譲り受けたおんぼろ軽トラで、一緒に故郷に帰ろうと誘ってくる。仕事が上手くいっていなかった暖はその誘いの乗るのだが…


 【感想】
 実際に若いころに父親を亡くした秋葉監督の体験談がモチーフになっているそう。ただ、邦画は説明過剰だといわれますが、本作のように説明がほとんどないと、頭の中は疑問符だらけで物語に入り込めません。父親が生きていたころに、里帰りもなかなかしないでつい冷たく当たってしまうというのはまだしも、ダンサーの仕事がなぜ上手くいっていないのか、壮介の誘いになぜほいほい乗ったのか、旅の工程はどういうことなのかというのが、説明なし。


 物語を盛り上げるためにラストになって、旅の意味が明かされるのですけど、それまで、東京から故郷まで軽トラだから延々と遠回りしているのかと思っちゃいました。そもそも、幼馴染とはいえ、壮介は暖に好意を持っているのが明らかで、一つ部屋に二人で泊ってるのに何もないのかなと、余計なことのほうに気が回ります。


 また、暖がいつも不機嫌なこともなかなか物語に入れない理由の一つです。これも、ラストまでくればそういうことなんだろうと想像がつくとは言え、主人公がずっと仏頂面という時点で、こちらも不機嫌になりそう。秋葉監督は自分の体験を元にしているのだから分かり切っているのだけど、観客に対しては不親切だなと思ってました。まあ、こういう雰囲気が好きな観客もいるでしょうから、僕には合わなかったということだけですが。


 僕自身、両親を亡くして心残りがいくつもあります。その点では暖の気持ちで分かる部分もあるのだけど、でも、社会で生活していく以上、仏頂面だけではすまされないわけで、ダンサーという仕事だからかもしれませんけど、逆にいつも仏頂面ですむのかよ、と突っ込みたくなりました。まあ、観る人を選ぶタイプの作品ですね。
posted by 映画好きパパ at 06:00 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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