作品情報 2020年日本映画 監督:高橋泉 出演:古川琴音、廣末哲万、大下美歩 上映時間98分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:シネマ・ジャック&ベティ 2024年劇場鑑賞346本
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【ストーリー】
カメラマンになる夢を捨てきれず、事務作業の傍ら写真を撮っている遠藤日和(古川琴音)は、急な雨に降られて逃げ込んだ廃屋でピエロ姿の男、雨森(廣末哲万)の写真を偶然撮影してSNSにアップしたところ、気味が悪いとバズってしまう。
後日、雨森と偶然再会して連絡先を聞いた日和は、同僚の栗井(大下美歩)にけしかけられたこともあり、雨森の写真で再びバズるために彼に近づく。しかし、ピエロ姿ながら紳士的で穏やかな雨森に、次第に魅力をかんじていく。だが、雨森にはある重たい秘密があり…。
【感想】
古川琴音がブレイク前、オーディションで抜擢されたそうです。最近はドラマ、映画と大活躍の彼女ですが、最もキュートで魅力を爆発させていたのは本作の彼女でしょう。最近は癖のある役が多いだけに、天真爛漫でも野心と良心もそれぞれ危ういバランスでもっているリアルな若い女性役は新鮮でした。
最初は、雨森を利用しようと騙して近づいていく日和。実際、SNSでは人気がでるのですが、その反面、良心が痛んできます。同時に、はるかに年上の中年男である彼にほのかな思いもではじめます。2人のじゃれあうような口喧嘩のシーンも含めて、等身大で自然体の仲良しシーンは観ていてほのぼのしました。
ところが、中盤、日和は雨森の抱える秘密を知ってしまいます。僕自身、身の回りに雨森のような人がいたら距離をおいてしまうでしょう。彼の生まれ持っての性癖のため、自ら世間と距離をおいている雨森の姿に同情はしますけれどね。前半のほのぼのラブコメが一転して、人の心の暗い部分にスポットをあてていく脚本は秀逸。まあ、日和が雨森に協力する部分はちょっと、ありえないだろうとも思いましたが。
また、日和と栗井がパワハラ上司(新恵みどり)の被害に遭うシーンもなんともイラっとさせます。2人の仕返しの方法を含めて、リアルかもしれませんが、雨森問題でおなか一杯なのに、余計な部分を付け加えてしまったなという気持ちもありました。
ともあれ、古川琴音のファンだったら必見の作品といえますし、多様性という口当たりの良い言葉でごまかされない、ちょっとシリアスな内容も気に入りました。まあ、本当にやばい性癖は心を許した人相手でないと隠し通すでしょうから、雨森も日和に心を開いた点は、新しい道に進み始めたといえるのかもしれませんが。でも、オープンにすれば良いとも言い切れないわけで、そのへんのもやもやも含めて、うまい作りだったと思います。
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