作品情報 2022年フランス映画 監督:マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール 出演:ウーヤラ・アマムラ、リナ・エル・アラビ、ニエル・アレストリュプ 上映時間114分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2024年劇場鑑賞365本
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【ストーリー】
1995年、パリ郊外の町パンタンに住むアルジェリア系移民の双子姉妹ザイア・ジウアニ(ウーヤラ・アマムラ)とフェトゥマ(リナ・エル・アラビ)はクラシック好きの両親(ジネディーヌ・スアレム、ナディア・カチ)の影響で、幼いころからクラッシックを習い、地元の音楽学校からパリの名門音楽学校に編入できた。
ビオラを弾いていたザイアは指揮者志望、フェトゥマはチェリストだった。だが、音楽学校は金持ちの子弟ばかりで、庶民階級で移民の女性ということでザイアは、リハーサル中に団員にボイコットされるなど陰湿ないじめをうける。しかし、学院に特別授業に来た世界的な指揮者セルジュ・チェリビダッケ(ニエル・アレストリュプ)の目に止まり、弟子入りが認められ…
【感想】
女性の指揮者はわずか6%しかいないなか、ザイアは現在でもフランスの人気指揮者の一人で、パリ五輪の時は聖火ランナーや閉会式の国歌演奏の指揮をとりました。彼女が立ち上げたディヴェルティメント・オーケストラは、性別、国籍、年齢に関係なく参加でき、子どもたちへの音楽教育にも熱心だそう。
その理由が本作をみてよくわかります。最初は移民、女性、金持ちでないとの属性だけで彼女をバカにした金持ちの生徒たち。しかし、彼女の才能とそれ以上に音楽への熱意と努力で、クラスの雰囲気もだんだん変わっていきます。惜しむらくはこの部分をじっくりと描けば良かったのですが、上映時間が短いために、意地悪な奴がいつの間にかデレているのがよくわからなかったこと。
また、クラスメイトとの親睦を深めるのに、みんなで楽譜を万引きするシーンがありましたけど、この部分は日本ではちょっとひいてしまいます。フランス人の順法意識ってこんなものなのかな。また、チェリビダッケの指導は厳しいけど理詰めなのに、ザイアが反抗する場面もちょっと分かりにくい。この辺はやはりじっくり見たかった。
物語部分は不満はありつつも、障害児をはじめ多くの人たちに音楽を楽しんでもらおうという彼女の熱意はほんもの。クラスメイトのいじめや差別、チェリビダッケの厳しい指導にも負けない姿に勇気をもらえます。フェトゥマをはじめ家族のアシストもナイスです。また、まだ学生にもかかわらず、市長に直談判してオーケストラへの補助金をださせるなど、行動力と決断力にも驚かされました。
そして、冒頭とラストを飾るボレロをはじめ、サン・サース、ビゼーといったフランスの作曲家をはじめ、ベートーベン、バッハ、モーツァルト、ドボルザークなどクラシックに疎い僕ですら知っている名曲の数々も心をうちます。エンディングロールで、オケ仲間の一人一人の写真が出てくる演出もすごい好きになりました。
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