作品情報 2023年インド映画 監督:プラシャーント・ヴァルマ 出演:テージャ・サッジャー、ヴィナイ・ラーイ、アムリタ・アイヤル 上映時間158分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2024年劇場鑑賞366本
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【ストーリー】
インドの山奥の村に住む青年、ハヌマントゥ(テージャ・サッジャー)は調子は良いが喧嘩はからっきし。定職につかず、時には悪い借金取りのアクセサリーを掏っては小銭を稼いでいた。姉のアンジャマ(バララクシュミ・サラトクマール)は頭を抱えて、早く働くように怒っていた。
村は怪力の村長(ラージ・ディーパック・シェティ)が反対する村人を相撲で殺し、好き放題やっていた。ハヌマントゥの幼馴染で女医のミーナクシ(アムリタ・アイヤル)は選挙で村長を決めようと提案したが、腹を立てた村長に刺客を送られる。ジャングルで逃げている彼女を助けたハヌマントゥは刺客たちにぼこぼこにされ、海に突き落とされる。ところが、海底には伝説の神、ハヌマーンの力が込められた石があり、その石の持ち主は人間離れした怪力を得られるのだ。村長や刺客たちをたたきのめしたハヌマントゥは一躍村のヒーローになる。
一方、大金持ちのスーパーヒーローマニア、マイケル(ヴィナイライ)は幼馴染のシリ博士(ヴェネラ・キショア)に強化スーツを作ってもらい、強盗犯を惨殺するなど“正義の味方”活動にいそしんでいた。偶然、ハヌマントゥの動画を見つけたマイケルは、彼からスーパーパワーを奪おうと陰謀をたくらむ。
【感想】
オープニングはマイケルのスーパーヒーローおたくぶりからはじまります。自分がスーパーヒーローになりたいがゆえに、殺人すら平気で行うマイケルですが、本家のアメコミ映画も、悪人を食べてしまうヴェノムをはじめ、平気で人を殺す集団であり、マイケルの悪事とどこが違うのかと思ってしまいました。彼のパートは基本シリアスですが、マイケルがシリ博士を呼ぶたびに、iPhoneのSiriが起動するというお約束のギャグもあります。
一方、ハヌマントゥのパートはかなり緩い。村長の手先が友人カシ(ゲットップ・スリヌ)の農家に高利の借金の取り立ての乱暴を止めようと、颯爽とあらわれますがあっさり返り討ちにされます。むしろ気の強い姉のアンジャマのほうが村で恐れられています。また、ミーナクシとの関係も、誤解ばかりされておりとにかくコミカル。ハヌマーンの力を得た後も、予告編にあるように襲い掛かってきた十人ぐらいの重量級の男を一斉に空中に投げ飛ばすなどコミカルなシーンが多い。
しかし、後半はどんどんシリアスになっていきます。このギャップがインドでは人気があったのか、今年の前半のインド映画興収1位の大ヒットとなります。けれど、僕はシリアスで、しかも敵が生身の人間だった本作に対して、次回作は神話の闘いになりそうだとSFファンタジーに軸をおいてしまうのはあまり好みでないのですよね。また、悪人があっさり正義の陣営に入ると、それまで悪人に殺された人たちが無念だろうなとつい冷ややかにみてしまいます。
それでも、ノースターで低予算のアクション(製作費は約7億円)なのにインドで大ヒットした勢いは感じます。歌もアクションもどことなく野暮ったいのがかえって受けたのかもしれません。主演のテージャ・サッジャーは本作で一躍大スターになりました。さらに、マイケルのスーパーヒーローへの歪んだ愛情ぶりもみもの。あと、ナレーションがサル(声・ラヴィ・テージャ)というのも笑いました。ハヌマーンがサルの姿をした神様だからでしょうけど、ラーマヤーナなどインドの神話を知っていれば、より楽しめたかな。
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