2024年11月05日

徒花-ADABANA

 自分のクローンがいて、自分が病気になったときは臓器を提供して死に至るというストーリーなんですが、カズオ・イシグロ原作でキーラ・ナイトレイ主演の「わたしを離さないで」とアイデアが一緒で、あちらと比べるとうーむという感じでした。


  作品情報 2023年日本、フランス映画 監督:甲斐さやか 出演:井浦新、水原希子、永瀬正敏 上映時間94分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:テアトル新宿  2024年劇場鑑賞398本



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 【ストーリー】
 謎の病気が蔓延して多くの犠牲を出した人類はクローン技術を発展させ、富裕層は病気となったときにクローンから臓器を奪うことで生きながらえてきた。クローンは「それ」と呼ばれ、人間扱いされていなかった。


 「それ」の施設の跡取りの新次(井浦新)も病気におかされるが、執刀医(永瀬正敏)から「それ」を使って治療すれば回復するといわれる。1週間後の手術を前に、新次は自分の「それ」(井浦新)に会いたいと、カウンセリング担当のまほろ(水原希子)に希望。きわめて異例のことだが、人間とそれが対面することになり…


 【感想】
 フランス資本が入っているせいか、観念的なストーリー、陰鬱なライティングや海、洞窟などの自然風景が続きます。撮影、美術に比べて脚本が今一つこなれていないというか、冒頭、「それ」の手術を希望する貧乏人を医師(板谷由夏)が追い払うというところから始まりますが、新次に金持ち感はなく、貧富の格差を言い訳めいておいただけというのはちょっとイラっと来ました。


 また、新次以外にも「それ」による治療を待つ患者のエピソードもいくつか挟まれますが、これもぶつ切りという感じ。さらに新次は「それ」への罪悪感か死へのプレッシャーかわかりませんが、幼かったころの母(斉藤由貴)や若いころの元カノ(三浦透子)の夢を観ますが、これもまた観念的。元カノは海の中に入っているのですけど、これCGかなとか余計なことばかり気になってしまいました。


 そして、ラストもよくわからない。まほろと執刀医が会話をするのだけど、だから何という感じ。途中まで新次の内面をみせようとしていたのに、こういうふうな幕切れはちょっと僕にはわかりませんでした。まあノーベル賞作家原作の映画と比べること自体がおこがましいのかもしれませんが、「わたしを離さないで」は2010年のマイベスト作品で、クローンを含めて死と生が何か、僕自身もまじめに考えてしまったけど、本作はよくわからないうちに終わってしまいました。


 とはいえ、新次と「それ」の二役を演じた井浦の演技はさすが。死の恐怖がせまった新次と、おそらく死ぬことが当然と洗脳されている「それ」はまったく別人のように見える一方、クローンといわれれば納得でき、彼の存在が本作を成り立たせているように見えました。スクリーンで久々に観る水原も相変わらず存在感をはなっています。新次の娘役に磯村アメリが登場していたけど、メジャー大作、ドラマから本作のようなインディーズまで、今一番の売れっ子子役かもしれません。彼ら、彼女らの演技は見ごたえがありました。
posted by 映画好きパパ at 06:03 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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