作品情報 2024年日本映画 監督:本広克行 出演:柳葉敏郎、福本莉子、齋藤潤 上映時間117分 評価:★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2024年劇場鑑賞409本
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【ストーリー】
警察庁を辞職し、秋田の山村で引退生活を送りながら、犯罪に巻き込まれた少年森貴仁(齋藤潤)、柳町凜久(前山くうが、こうが)の里親となっていた室井慎次(柳葉敏郎)。しかし、自宅の付近でかつて自分が手掛けた事件の犯人の遺体が見つかった(前編の敗れざる者)。
室井の家の離れが放火されたが、犯人は室井が保護した少女、日向杏(福本莉子)だった。彼女はかつて室井の指揮で逮捕、服役しているサイコパスの日向真奈美(小泉今日子)の娘で、獄中の真奈美に洗脳されていたのだ。一方、凜久を虐待していた実父の明楽(加藤浩次)が出所し、凜久を引き取りに室井のもとを訪れるのだが。
【感想】
感動したという感想も散見するので、あくまでも僕の個人的な意見です。まず、予告編でもさんざん流した、遺体遺棄事件があまりにもしょうがない。室井は警察庁時代の同僚の新城(筧利夫)に呼ばれて、警察の捜査に協力します。しかし、犯人がわざわざ警察に挑発的な電話をかけてきて、室井は声で犯人を見破るのですが、別に室井が見破らなくても犯人の正体はバレバレ。しかも本作の前半3分の1ぐらいでさっさと解決してしまいました。ミステリーのかけらもありません。
次に、前編のラストから引っ張った杏の放火ですけれど、これも真奈美に洗脳されて室井に嫌がらせをしたというしょーもない動機ですが、なんで室井相手にこんなにしつこくするのかがまるで不明だし、とっとと改心して室井になついてしまいます。室井も被害届をだしませんけど、放火は重罪で被害届が出なくても普通に捜査するでしょう。さらに、この火事もあって室井は近隣住民から嫌がらせにあいますけど、前編でもうんざりだったのに、後編でもしつこく嫌がらせの描写があって気分が悪い。あと、貴仁の初恋を引っ張るのかとおもったら、これもいつの間にかフェードアウト。とにかく思いついたイベントを適当にいれているようでした。
極めつけはラストで感動した人もいるようなシーンですが、冷静に考えると明楽が暴れて、室井家で飼っている秋田犬が逃げてしまった。その犬を探して雪山で遭難したのです。犬だったら帰巣本能があるし、秋田犬だったら秋田の山林は自分の庭みたいなもんでしょう。それなのに主人公が命を落とすのは安っぽい。まだ、子供のだれかを探しに遭難だったらわかるのですけど。むしろ、二次遭難した室井を探しに大捜索隊がでて、思い切り迷惑かけてるじゃないですか。
そもそも「踊る」シリーズが当初から言っていたのは殉職者を出さないこと。青島(織田裕二)が刺されても、恩田(深津絵里)が撃たれても殉職をしませんでした。しかし、引退した室井が犬を追っかけて遭難死させて、観客を泣かせようとするのはあまりにあざとい。しかも、嫌がらせをしていた村民がこぞって、いつの間にか室井ファンになって、彼を追悼しているのも、キャラクターの整合性もなにもあったものでありません。エンドロール後に青島が登場する1シーンがあり、今後も続編が作られるようですけど、あまり期待しないで観てみます。
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