2024年12月03日

夜のまにまに

 大阪の若者の等身大の青春を描き続けている磯部鉄平監督の新作。スロースタートでもう少し上映時間を短くできたと思うけど、ガラガラの映画館がきっかけの出会いにはあこがれてしまいます。

 作品情報 2023年日本映画 監督:磯部鉄平 出演:加部亜門、山本奈衣瑠、黒住尚生 上映時間116分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:新宿シネマカリテ  2024年劇場鑑賞438本



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 【ストーリー】
 フリーターの新平(加部亜門)は幼馴染の彼女の咲(永瀬未留)に振られ、傷心のまま映画館に観に行く。しかし、観客は彼と年配の女性、由紀恵(岬ミレホ)だけ。何となく話し始めた2人に、遅れてきた佳純(山本奈衣瑠)も加わり3人は意気投合。上映後に一緒に飲みに行き、徹夜で話をした新平は、早朝の河原で佳純とキスをする。


 それからしばらくたち、新平のバイト先のレストランの新しいバイトに佳純がやってきた。しかし、彼女は映画を観た夜のことを覚えてない様子でそっけがない。それどころか予想もつかない頼みを新平にしてきて…


 【感想】
 映画館には何千回と言ってますが、見知らぬ人と交流したことは1回もありません。さらに、出会った当日に異性からキスされたり、別れた後の幼馴染が自宅に入り浸たりするなんてことも。これだけで、平凡な日常に見えつつも、僕にとってはまったくのファンタジーの世界なんですが、こんな関係はうらやましい。普通に考えれば佳純と咲で両手に花なんですが、実は2人とも彼氏がいる。さらに、由紀恵という年配の女性が登場することで、突拍子のない設定とはいえ地に足がついているのはうまい。


 また、新平の親友(黒住尚生)の使い方もうまく、今年は別の作品でも、こういう人を観たのですが、これまた本作が一番ナチュラルでした。気弱そうな新平が佳純の無茶ぶりにつきあわされ、それを心配した咲との間で口論が起きるというのも、彼女ではないのにプチハーレム状態で、笑えるけどなんかありそうな気がするのは不思議。


 ただ、中盤に起きるこの2人の口論までが長く感じられたのも事実。また、作劇上、起きたかったのでしょうけど、佳純と新平の行動は実効性が皆無で意味が分からず、このシーンがちょっと荷もたれしました。


 とはいえ、加部、山本、永瀬といった若手の演技、そして物語で描かれる人間関係は観ていて心地が良い。新平の姉役に前作の「凪の憂鬱」の主人公、辻凪子が起用され、役柄は違うのだけど、同じ磯部ワールドでつながっているかのように見えるのも、ほのぼのします。関西弁が多いのも、大阪の若者はこうなんだという新鮮さがありました。なにより、映画館をきっかけとするボーイ・ミーツ・ガールは、永遠のあこがれだなあ。
posted by 映画好きパパ at 07:42 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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