作品情報 2023年ジョージア、スイス映画 監督:エレネ・ナヴェリアニ 出演:エカ・チャヴレイシュヴィリ、テミコ・チチナゼ、リア・アブラゼ 上映時間110分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2025年劇場鑑賞3本
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【ストーリー】
ジョージアの田舎町で雑貨屋を営むエテロ(エカ・チャヴレイシュヴィリ)は、亡き父と兄から変な教育を受け、48歳になっても処女で一人暮らしをしている。村の同年代の女性たちは、ふくよかな彼女の体形や男を知らないことを陰でバカにしていた。
ある日、都会から荷物を運んできた運転手のムルマン(テミコ・チチナゼ)と体の関係を持ってしまう。ムルマンは既婚者にもかかわらず、エテロに惚れ込む。エテロの人生は大きく変わり始めた。
【感想】
処女の時のエテロのほうが格好良かった気もします。結局、家庭にとらわれる保守的な村人たちと違って、ブラックベリーを摘むのが大好きな彼女は、商売しながらおカネを貯めており、引退したら自由に生活できると考えてます。結婚についてもしないときっぱり。結婚しないことをバカにしてきた酔客のおっさんには「結婚やペニスが幸せを運ぶなら、世の中の女は皆幸せなはず。でも、どこに幸せな女がいる?」ときっぱり。男の僕から見ても、この自立した様子は感動しました。
一方、しょっちゅう群れる村の女性たちにとって、自由で強いエテロは目の上のたんこぶのようなもの。女の敵は女といわれますが、お茶会に彼女だけ呼ばなかったり、呼んだときは露骨にあてこすりをしたり。しかし、そんな中途半端ないじめは彼女に通用しません。そんな彼女は村の女性たちと通り一遍の付き合いをしますが、本当に仲の良くて、笑顔を見せるのはロック好きの不良少女だったり、都会のレズビアンカップルだったり、保守的な地域でははぐれものてきな人ばかりというのも共感を持てます。
そんな一人でも生きられるはずの彼女が男をしって変わっていきます。不倫相手なんてろくなもんじゃないだろうと思いきや、ムルマンの彼女を思う気持ちはかなり真剣。僕なんかさっさと離婚してくっつけばいいのにと思ったのだけど、ジョージアの国情では難しいのかもしれません。保守的な町では不倫がばれたら社会的に抹殺されます。逢瀬もままならないエテロの内面の変化は、人間は強いだけでは生きられないということなんでしょうか。そして、受け止め方が観た人によってことなるだろうラスト。彼女の母親がエテロの出産で亡くなり、町でもそのことでいじめられたことを考えると、なんとも重たい感じになっています。
ジョージアの田舎町の風景はなんとも落ち着かせますが、田舎特有の閉鎖的な人間関係は観ていてつらかった。それだけに一人敢然と立ち向かいつつも孤独さがみえた彼女が、初めて愛する人ができたのは、弱くなったように見えるけど人間的にはよかったのかなあ。正直、エテロのヌードや性交シーンもあって、ジョージア映画でもこういうのがOKかと思いつつ、生々しさにちょっとぎょっとしましたけど、初めての性交のときもエテロが押し倒して馬乗りになっていて、ここでも強い女性を象徴しているのかと思ってしまいました。エテロたちの食べているジョージアの伝統料理がおいしそうだったこと。
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