作品情報 2022年カナダ映画 監督:チャンドラー・レヴァック 出演:アイザイア・レティネン、ロミーナ・ドゥーゴ、パーシー・ハインズ・ホワイト 上映時間99分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:シネマ・ジャック&ベティ 2025年劇場鑑賞9本
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください

にほんブログ村
【ストーリー】
2003年のカナダの田舎町。映画オタクの高校生ローレンス(アイザイア・レティネン)はたった一人の友人、マット(パーシー・ハインズ・ホワイト)とサタデー・ナイト・ライブ(SNL)を観るなどオタクライフを満喫していた。
大学はニューヨーク市立大で映画を学ぶこと。しかし、シングルマザーの母、テリ(クリスタ・ブリッジス)から我が家が貧乏で学費が払えないと聞かされ、急遽、レンタルビデオ店でバイトを始める。しかし、そこでも映画知識を振り回すだけで仕事はさっぱりできず、店長のアラナ(ロミーナ・ドゥーゴ)は頭を抱える。
【感想】
好きな映画の話になると夢中で早口となる一方、コミュニケーション能力は最低に近く、デブでもさっとしたファッションしかしないローレンス。テリやマットに対する態度も結構ひどく、周りが人格者だから救われているよなあ。自分も傍から見ればこういうふうに見えるかと思うと、ちょっと改めなければ。
しかも、学校の課題テーマを無視して自分の好きな自主映画をとるなど、ローレンスのオタクぶりはずばぬけています。レンタルビデオ店で売り出そうというシュレックをバカにする一方、ポール・トーマス・アンダーソンやSNLを熱愛するのもオタクぽい。一方で、女性に話しかけられると妙に敵対的な態度をとってしまうし、まあ、痛くて共感性羞恥にさいなまれる作品でした。
また、アラナは女優の道をあきらめたちょっと年上のお姉さんという感じ。ME TOO的な話がでてくるのは実際にもそうだったのか、時代の潮流だからかわかりませんが、映画界のダークな部分もみつつ、それでも映画に携わって生きていくというのはある意味理想の生き方かも。もっとも、レンタルビデオという業態はあと10年もすれば廃れるわけで、ブラックジョーク的といえるかもしれません。
ローレンスの痛さに対して、アラナとテリの大人の女性が見守る暖かさと、それでも我慢しきれないというのはいかにも人間ぽい。それだけにラストはなんとも言えない気持ちになりました。家庭の不幸も含めて、人生は嫌なことが多い。それでも前向きにならなきゃと思わせてくれる佳作です。
【2025年に観た映画の最新記事】