作品情報 2024年韓国映画 監督:パク・ヨンジュ 出演:ラ・ミラン、コンミョン、ヨム・ヘラン 上映時間114分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2025年劇場鑑賞11本
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【ストーリー】
幼い子供2人を育てているシングルマザーのドッキ(ラ・ミラン)は経営するクリーニング店が火事になり、今はクリーニング工場で働いているものの借金まみれ。しかも、銀行のソン代理を名乗る振り込め詐欺犯に騙され、虎の子の貯金すら奪われてしまう。警察に被害届をだすが、担当のパク刑事(パク・ピョンウン)はやる気がない。
ところが、ソン代理から助けを求める電話がドッキにかかってきた。彼の本名はジェミンでバイトに応募したところ、中国・青島のコールセンターに軟禁され、逃げ出そうとするものは殺されるという。ドッキはパク刑事に報告するが、相手にされない。怒ったドッキは工場の同僚で青島出身のポンニム(ヨム・ヘラン)、お調子者のスクチャ(チャン・ユンジュ)のおばちゃん3人で現地に乗り込み、ジェミンのとらえられているコールセンターを探そうとする…
【感想】
韓国でも振り込め詐欺が増加しているのは「声/姿なき犯罪者」でも描かれていました。ジェイソン・ステイサムだったらCIAを使ってコールセンターの場所を突き止めて爆破してしまいますけど、ドッキたちはごく普通のおばちゃん。暴力ともITとも無縁です。そんな彼女たちがどうやって凶悪な振り込め詐欺グループに立ち向かうのか、ハラハラドキドキしながらみます。
緩急のつけ方が非常にうまく、コールセンターの暴力シーンは目を覆いたくなるほどの一方、やる気のないパク刑事と詰め寄るドッキのかみ合わない会話はコントのよう。また、ドッキの幼い子供2人が児童相談所に保護されて離れ離れになってしまうなど、泣かせどころもきちんと作っています。
ただ、庶民の怒りを描いているという面では完璧。ドッキが悪党だけでなく、警察という官僚機構の壁にぶちあたりながらも、絶対にカネを取り戻すという怒りに突き進む様子は、とにかく格好良い。理不尽な目にあったときに人間の本性がわかるといいますけど、自分の身を顧みずに、実行犯であるジェミンをも助けようとする彼女の姿は、本当に応援したくなります。
また、青島では現地でタクシー運転手をしているポンニムの妹のエリム(アン・ウンジン)も加わりますが、おばちゃん4人の友情も熱い。ドッキ以外の3人は何ら被害があっていないのに、はるばる青島で大冒険をするわけです。これも普段のドッキがいかにいい人か分かるエピソードでうまい作りでした。エピローグでは実際の事件のオチも紹介されますが、ひどいけど思わず笑ってしまいました。
ラ・ミランはごく普通の小太りのおばちゃんにみえるけど、韓国映画では主役作も多い。整形美人的な女優が多い韓国ですが、男優、女優問わず中年の味のある俳優にもしっかり主役作があるところはさすがだと思いました。
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