作品情報 2024年日本映画 監督:神山征二郎 出演:中村橋之助、志田未来、緒形直人 上映時間127分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷 2025年劇場鑑賞14本
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【ストーリー】
明治38年、信州・中野の寒村から音楽を勉強するために上京した中山晋平(中村橋之助)は劇作家で早稲田大学教授の島村抱月(緒形直人)の書生となる。東京音楽学校を卒業後、浅草の小学校の音楽教師をしていたところ、劇団を立ち上げた抱月の依頼で、「カチューシャの唄」を作曲。看板女優の松井須磨子(吉本実憂)の熱傷もあり、大ヒットする。
抱月の死後、著名な詩人の野口雨情(三浦貴大)から依頼されて作曲した「船頭小唄」も大ヒット。日本を代表する人気作曲家になる。一方、見合い結婚した妻の敏子(志田未来)は晋平を支えるも、病弱でやがて不治の病にかかってしまい…
【感想】
中山晋平は生涯1770本も作曲したそうで、「シャボン玉」「てるてる坊主」は令和の今も子供たちが歌っています。「ゴンドラの唄」は映画「生きる」で日本を代表する映画音楽になるなど、日本の歌謡曲の歴史を塗り替えた偉人でした。ただ、曲は聞いたことがあっても、晋平のことを知らない人は多いでしょう。本作はそんな彼の人生を丁寧に説明します。
中野市にある中山晋平記念館が協力しているにもかかわらず、敏子の生前中から芸者の新橋喜代三(中越典子)を愛人とし、後妻にすること、戦時中に戦争に反対した親友の野口とは対称的に、なんとも煮え切れなかったことなどマイナス面もそれなりに描いているのも好感がもてます。
なにより、雪深い信州の寒村から苦学したという明治期の立志伝には共感を得られます。貧乏なシングルマザーだけど晋平の才能を信じて東京に送り出した母のそう(土屋貴子)とのエピソードも、古き良き日本という感じで心地よい。ちなみに、信州・中野は僕も若いころ1年だけ住んでいて、晋平の資料館に行った記憶があり、その縁で僕も多少応援したい作品です。現代でも雪は結構降るのですから、鉄道や自動車のなかった明治時代は大変だったでしょう。
俳優は脇役までそれなりの知名度の役者が勤めていますが、逆にこれだけのシーンのためにもったいないという人も。ベテラン俳優が多い中、松井役の吉本が歌も含めて印象的。また、晋平のヒットを支えた童謡歌手の佐藤千夜子を真由子が演じていますが、彼女の父親の津川雅彦は、佐藤の生涯を描いたNHKの朝ドラ「いちばん星」で中山晋平を演じており、ベテラン監督らしいキャスティングだと思いました。
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