作品情報 2025年日本映画 監督:英勉 出演:吉野北人、堀未央奈、志田彩良 上映時間119分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマみなとみらい 2025年劇場鑑賞36本
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【ストーリー】
クラス替えが終わった新学期。2年D組全員のところに、クラスでの序列が書かれた数字が送られてくる。序列1位は学級委員長で才色兼備の姫山椿(堀未央奈)。優しくクラスの人気者の彼女のおかげで、序列は割とすんなり受け入れられた。
しかし、半年後、姫山は校内で自殺。葬儀から戻ってきた教室には、担任の甲斐原誠(忍成修吾)と生徒24人一人一人にあてた遺書が置かれていた。遺書に姫山の自殺の理由のヒントがあるのではと、一人ずつ公開することになった。しかし、その結果、驚愕の事実が次々と明らかになり…
【感想】
遺書公開というセンセーショナルなプロットをとりながら、クラスの人間関係、恋や勉強の悩み、SNS時代の怖さといった今風のテーマをきちんと取り上げており、最後まで飽きずに堪能できました。特に表面的には問題がなさそうなのに、本音の部分ではドロドロで、それが次々に明らかになるという展開は病みつきになりそう。
遺書は本当に姫山が書いたのか、そして、だれが教室に置いたのか。また、姫山が自殺した理由は何なのか。クラスの秩序が崩壊するなか、一人一人の遺書が公開されて、謎は二転三転しつつ真相に向けて収束していきます。いかにも思春期的な悩みは、思春期をとっくに過ぎたおじさんには切なく思う一方、子供のころにSNSがなくて良かったという気も。
また、一応、序列19位の池上柊夜(吉野北人)と20位の廿日市くるみ(志田彩良)が中心となっていますが、全員の遺書がきちんと読まれて、それぞれの人間関係が明らかになるという展開がすごい。学園モノでは中心となる数人を除けばモブですけれど、ここでは生徒24人と担任の甲斐原の抱える闇、悩みといったものがすべて取り上げられるのですから。しかも鈴木おさむの脚本の交通整理もみごとだし、短時間でエピソードをまとめる脚本、演出もすごい。こういう閉鎖的社会の一見平和で中身ドロドロって、今のフジテレビの問題のように、大人になっても日本社会では普通にあるのも怖い。
若手俳優の演出が得意な英勉監督ですけど、本作でも時代を担うであろう逸材がずらり。特に朝ドラの主演が決まっている高石あかりのすさまじい演技をはじめ、志田や宮世琉弥など深夜ドラマで主役をはっている若手のうまさが目立ちます。先日、観た「美晴に傘を」の美晴役の日高麻鈴や「君は放課後インソムニア」の森七菜の相手役の上村海成など、マイナー邦画で活躍している面々も出ていました。5年、10年後に生徒役の俳優たちがどれだけ活躍しているか楽しみ。そして、忍成の切れ切れの演技がうまくはまっていました。それと英勉作品は毎回エンディングロールに凝っていて、今作もよかった。
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