作品情報 2024年スペイン映画 監督:ペドロ・アルモドバル 出演:ジュリアン・ムーア、ティルダ・スウィントン、ジョン・タトゥーロ 上映時間107分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:ブルク13 2025年劇場鑑賞38本
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【ストーリー】
作家のイングリッド(ジュリアン・ムーア)は長年あっていなかった旧友のマーサ(ティルダ・スウィントン)が、末期がんだと知り見舞いに行く。マーサは若いころ、現在のイングリッドの恋人ダミアン(ジョン・タトゥーロ)と付き合っていた。
そのマーサから、安楽死に協力してほしいといわれて驚くイングリッド。田舎の小さな家を借りて、その日が来るまで隣の部屋にいてほしいと頼まれたイングリッドは悩んだ末、協力することに。そして、いよいよ2人は最後の数日間を一緒に暮らし始める。
【感想】
マーサは元戦場記者という設定で、イングリッドも作家という2人が裕福なインテリすぎるという印象もあり、どこか他人事でみてしまいました。隣の部屋にいて(実際は下の部屋だけど)、朝、ドアが閉まっていたら安楽死のために毒を飲んでいる、開いていたらドアは開けっ放しという設定もドラマティックなゆえに、フィクション感がただよいます。
安楽死をテーマにした映画はいくつもありますけれど、2人の住んだ小さな家のインテリアや緑に囲まれた様子なども美しすぎ。「92歳のパリジェンヌ」「すべてうまくいきますように」といったフランスの安楽死を描いた作品のほうが、もうちょっと死ぬことの汚さ、生きることの貪欲さを描いていた気がします。マーサが戦場記者だったことも、うまくいかせてなかったかな。
とはいえ、アルモドバル監督の淡々とした演出は手練れのもの。イングリッドがいつマーサがその日を迎えるかの選択をするか、時にはショックで吐いたりしながら待つ様子は抑制されたタッチにもかかわらず、緊迫感は高まります。また、きれいごとっぽいせりふの多かった前半と違って、警察や弁護士などと話し合う終盤は初めて、世俗の大変さがみえたようで落ち着きました。
すごいしょうもないことですが、冷蔵庫を開けるシーンで「おーいお茶」があって、大谷翔平選手がファンなことでも知られているように、アメリカでも日本茶は気軽に飲めるのかとびっくり。一歩、安楽死直前ということをのぞけば、ああいう小さな小屋で美しく過ごすというのは、金銭的余裕があることも含めて豊かな生活の象徴だなと思ってみてました。
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