作品情報 2022年アメリカ映画 監督:ビル・ポーラッド 出演:ケイシー・アフレック、ウォルトン・ゴギンズ、ボー・ブリッジス 上映時間111分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2025年劇場鑑賞48本
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【ストーリー】
1979年、ワシントン州の自然豊かな農場で育った、10代のドニ―(ノア・ジュープ)とジョー(ジャック・ディラン・グレイザー)のエマーソン兄弟はバンドに夢中だった。特にドニ―の才能に感心した、父親のドン(ボー・ブリッジス)は敷地の一部に専用スタジオをたてて、レコードを制作する。だが、音楽業界につてがあるわけではなく、曲は埋もれたままだった。
30年がたち、ドニー(ケイシー・アフレック)は町で音楽スタジオを経営しながら妻のナンシー(ゾーイ・デシャネル)と細々とバンドを続け、ジョー(ウォルトン・ゴギンズ)は音楽をあきらめ、両親と同居しながら農作業を手伝っていた。そこへ、西海岸の音楽愛好家が30年前のレコードを発掘し、ネットで曲を流したところ大ブレイク。レコード会社からオファーがかかる。しかし、2人は中年になって今さらという思いが強く…
【感想】
田舎の白人兄弟による手作りの曲と、温かい一家の応援は古き良きアメリカを想起します。10代のころの夢にあふれる2人と、中年になって人生の苦味をかみしめている2人の使い分けも共感を得やすいでしょうし、田舎のに住む心の広いドンは農地を子供の夢のために次々と売却してまで応援。どんなときも優しい母親のサラ(バーブラ・ディーリング)、そしてドニーたちの姉妹や子供たちと完璧な家族構成も、アメリカの観客にとってはハートウォーミングでしょう。
曲調も30年前(現在からすれば40年以上前)なので、懐かしい感じがして、「ドリーミン・ワイルド」のタイトル通り、しっとりきます。また、10代で挫折して、それが心の傷となりつつも、30年もたって報われるというサクセスストーリーもわかりやすい。
しかし、それだけにどこかで予定調和で深みがたりない。よくあるミュージシャンの伝記映画ではそれこそ、自殺、薬物、犯罪などがてんこ盛りがゆえに、関心をひくのですけど、本当にこぢんまりしたいい話で終わってしまったというのも正直なところ。才能あふれるドニーが、自分よりも下手なジョーにいらだつという兄弟げんかがあるにしても、すぐに和解しちゃうし。
まあ、出演者たちも渋い面子を集めていますし、ワシントンの広大な農地、そしていかにもアメリカの古き良き音楽ということで、一定の質は担保されてるとはいえますけど。実話とはいえ、こういう思いがけない喜びが人生後半生にあるというのは、おとぎ話みたいで何となく懐かしい気分で観ていました。
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