2025年02月15日

おんどりの鳴く前に

 田舎の村のどす黒さというのは、邦画の「嗤う蟲」で観たばかりですが、ヨーロッパも一緒。ただ、クライマックスに思い切り盛り上がるためなんでしょうけど、それまでは延々とイライラさせるシーンが静かに続くので、中盤は集中力が途切れました。


作品情報 2022年ルーマニア、ブルガリア映画 監督:パウル・ネゴエスク 出演:ユリアン・ポステルニク、ヴァシレ・ムラル、アンゲル・ダミアン 上映時間106分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2025年劇場鑑賞50本



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 【ストーリー】
 ルーマニアの小さな村で警官をしているイリエ(ユリアン・ポステルニク)は中年になっても出世できずにやる気はなく、引退して果樹園を経営するのが夢だった。だが、自宅を売却しても果樹園を買えるカネがなく、悶々としていた。


 ある日、静かな村で斧で頭を割られた遺体が発見される。村の交番にはイリエと新人警官のヴァリ(アンゲル・ダミアン)しかおらず、捜査は難航する。そこへ村長のコンスタンティン(ヴァシレ・ムラル)がイリエに、村の平和のために捜査を穏便にして犯人を隠蔽すれば、果樹園の購入に力を貸すといってくる…


 【感想】
 事前知識がなかったので、どこの映画かわからずスペインかイタリアが舞台なのかとおもってみてました。村長をはじめとする村の有力者が、それとなく圧力をかけてくるというのは「嗤う蟲」同様。仕事にやる気のないイリエが、同調圧力に屈するのは当然ですし、村人たちも厄介ごとにはかかわる気がありません。


 しかし、新人のヴァリはまだ、やる気にあふれるがゆえに同調圧力に染まらず、ガンガン捜査しようとします。被害者の妻、クリスティナ(クリナ・セムチウク)が、いろいろ嫌がらせをうけているのにもイラっときます。それでも、イリエはなんとか穏便にすまそうとするあたりが、いかにも田舎の村らしい。寂れて疲れ切った村人たちの不穏な描写がひたすら続くのはリアリズムっぽいけど、観ていてしんどい。都会に住んでいるとそれが嗤いにつながるのでしょうけど、田舎のうざさはやはり体験するとひたすら不快ですしね。


 村の権力者たちのやり口は、陰湿なゆえに派手さがなく、こちらもイライラしているうちに眠気との戦いになりました。しかし、実際に田舎で嫌がらせがある場合も、あからさまにやるのではなくて、こういうねちねちとやるのだろうから、リアルさはこちらのほうが感じられました。そして、一気にイリエの怒りが爆発するクライマックスは、アクション映画と違って地味だけど痛そうな感じなのも特徴的。


 原題は「OAMENI DE TREABA」でルーマニア語で善良な人々という意味だそう。映画ではおんどりがさも意味ありげに、ちょっとずつ写っているので、邦題はそこからとったのでしょうか。ルーマニア映画はあまりみたことないのですけど、ごつごつした手作り感も含めて、独特の味わいを楽しめます。
posted by 映画好きパパ at 18:00 | Comment(0) | 2025年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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